日本地質学会第130年学術大会

講演情報

セッションポスター発表

J1. ジュニアセッション

[1poster69-93] J1. ジュニアセッション

2023年9月17日(日) 13:30 〜 15:00 Jr._ポスター会場 (吉田南総合館北棟1-2階)

[J1-P-4] 南紀白浜の礫岩層の起源

*和歌山県立 田辺高等学校1 (1. 和歌山県立田辺高等学校)

キーワード:紀伊半島、白浜、田辺 、礫岩 、起源

研究者氏名:山下海音,竹田夢來,藤田悠真,前田香花,増田輝瑠,谷本和香奈,井上雅結,濱中一真

1 はじめに
紀伊半島南西部,和歌山県みなべ町から田辺市を経て白浜町に至る地域には,新第三紀中新世に堆積した田辺層群が分布している.さらに,白浜町臨海の海岸では,塔島礫岩層が田辺層群白浜累層を傾斜不整合で覆っている様子が観察される(中屋ほか;1999,田辺団体研究グループ;1984).
本研究では,塔島礫岩層および田辺層群に含まれる礫の調査に基づき,礫の供給源や後背地の様子を明らかにしたいと考えている.

2 塔島礫岩層と田辺層群の礫岩の礫種構成
白浜町や田辺市の海岸に露出する塔島礫岩層の11地点で合計1100個,その下位にある田辺層群白浜累層の2地点で200個,田辺層群朝来累層の1地点で100個の礫を観察した.
塔島礫岩層の礫種構成は,地点ごとに差はあるが,いずれも砂岩が多数を占めており(73~96%),次いで泥岩,緑色凝灰岩,チャート,結晶片岩類などが見られる.まれに,流紋岩など火成岩の礫も含まれている.
 塔島礫岩層の下位にある田辺層群の礫岩でも礫種構成を調査した.白浜累層2地点の礫種構成は,結晶片岩類が多数を占め(77~81%),次いで火成岩類(10~11%),泥岩,チャートであった.朝来累層1地点の礫種構成は,砂岩が多数を占め(89%),他に緑色凝灰岩,泥岩などが見られた.

3 塔島礫岩層の礫の供給源
塔島礫岩層の礫のうち,緑色凝灰岩の礫は,田辺層群朝来累層にも礫として含まれている.これが洗い出されて,塔島礫岩層の礫として堆積したと考えられる.この岩石の供給源の候補は,四万十帯の竜神層に含まれている白亜紀の凝灰岩(坂本・別所,1992)である.一方,結晶片岩類の礫は,田辺層群白浜累層の礫岩に高い頻度で含まれている.これが侵食されて塔島礫岩層の礫となったと考えられる.

4 参考文献
中屋志津男,原田哲朗,吉松敏隆.1999.25万分の1紀伊半島四万十帯の地質図.アーバンクボタ,no.38,付図.
坂本隆彦,別所孝範.1992.酸性凝灰岩と密接に産する砂岩の形成-紀伊半島四万十累層群の竜神累層千疋山酸性凝灰岩体を例として.地質学論集,38,271-280.
田辺団体研究グループ.1984:紀伊半島田辺層群の層序と構造.地球科学,no.38,p.249-263.