[J1-P-18] 岐阜県白川町で発生したバックウォーター現象による河川氾濫
研究者氏名:今井幹太、小川大輔、久保田守
岐阜県加茂郡白川町河岐(以下、白川口と表記)では、2020年7月8日と2021年8月14日に、飛騨川と白川の合流地点で氾濫が発生した。2018年7月8日にも増水し、氾濫寸前の状態となった。氾濫・増水は飛騨川に合流する白川で発生したが、2018年、2020年には白川流域では激しい降雨が確認されておらず、氾濫の原因はバックウォーター現象によるものだとされている。そこで、2018年、2020年、2021年の氾濫・増水について調査を行い、その発生の条件を解明することを目標とした。
白川口の氾濫は、飛騨川上流で降雨が多かったこと、合流点下流の飛騨川に狭窄があるため水位が上昇し、合流する白川の水の合流・流下が妨げられ滞水する(バックウォーター現象)ことで生じたと仮説を立てた。そこで、飛騨川上流域の8地点、白川流域の7地点の降水量と、飛騨川上流の上呂観測所、洪水が発生した地点の白川口観測所の2地点の飛騨川の水位記録を用いて氾濫発生前後の上流の降雨と白川口の水位との関係を調べた。
2018年の増水では、飛騨川上流域では7月4日から降雨があり、7日22時から8日4時の間は8か所で総雨量が100㎜を超えた。上呂観測所では7日から8日の総降雨量が304 ㎜であった。白川流域では、7月4日~6日まではまとまった降雨が見られたが、7日にはあまり降雨がなく白川口観測所で8日6時に23㎜が観測されている程度である。白川口観測所の水位は4 m程度であったが、8日の2時から5時にかけて急上昇し、その後10時まで10 m以上となったが氾濫には至らなかった。
2020年の氾濫では、7月6日~8日の降水量は飛騨川上流の上呂観測所で570 ㎜、白川口観測所では299 ㎜であった。上呂観測所の水位は7日24時までは5.5 mで8日2時に7.4 mまで上昇したが、その後下降している。白川口観測所の水位は7日13時の5.5 m程度から上昇し、8日8時に10 mを超え、9時に11.3 mとなり氾濫した。氾濫の直前の8時に白川口観測所付近で41㎜の激しい降雨があった。
2021年の氾濫では、8月13日~14日の降水量は上呂観測所で422 ㎜、白川口観測所で346 ㎜であった。上呂観測所で14日20時に時間雨量33 ㎜、白川口観測所で21時に時間雨量35 ㎜の降雨があった。白川口観測所の水位は14日に入って急速に上昇し、16時には10 mを超え、23時には11.3mとなり氾濫した。
白川口観測所の水位の上昇は、上流の上呂観測所と比較して著しく大きい。上呂付近では飛騨川の川幅が比較的広いのに対し、白川口から下流には「飛水峡」と呼ばれる狭窄部となっている。そのため、河川流量が増加すると水位の上昇が生じる。そのため飛騨川上流での降雨により飛騨川の水位が上昇することにより、合流する白川の水は合流・流下が妨げられる。2018年の白川口での増水は飛騨川の上流の降雨による。2020年の氾濫は、飛騨川上流の降雨により氾濫寸前まで水位が上昇しているところに、白川流域で激しい降雨があり、氾濫を生じた。2021年の氾濫は、飛騨川流域、白川流域ともに大雨となり、飛騨川の水位が上昇し、白川の水が滞水したためと考えられる。
白川口での増水・氾濫は、
1.飛騨川上流で大雨が降る
2.上流からの雨水が白川口へ到達し、飛騨川の狭窄部にて流れ切れなかった雨水により水位が上昇する。(第一のバックウォーター)
3.合流点にて水位が上昇した飛騨川に白川からの水が流れ込むことができず白川の水位が上昇する。(第二のバックウォーター)
といった順序で氾濫が発生したと考えられる。
キーワード:氾濫,バックウォーター現象,狭窄,豪雨,飛騨川、白川
岐阜県加茂郡白川町河岐(以下、白川口と表記)では、2020年7月8日と2021年8月14日に、飛騨川と白川の合流地点で氾濫が発生した。2018年7月8日にも増水し、氾濫寸前の状態となった。氾濫・増水は飛騨川に合流する白川で発生したが、2018年、2020年には白川流域では激しい降雨が確認されておらず、氾濫の原因はバックウォーター現象によるものだとされている。そこで、2018年、2020年、2021年の氾濫・増水について調査を行い、その発生の条件を解明することを目標とした。
白川口の氾濫は、飛騨川上流で降雨が多かったこと、合流点下流の飛騨川に狭窄があるため水位が上昇し、合流する白川の水の合流・流下が妨げられ滞水する(バックウォーター現象)ことで生じたと仮説を立てた。そこで、飛騨川上流域の8地点、白川流域の7地点の降水量と、飛騨川上流の上呂観測所、洪水が発生した地点の白川口観測所の2地点の飛騨川の水位記録を用いて氾濫発生前後の上流の降雨と白川口の水位との関係を調べた。
2018年の増水では、飛騨川上流域では7月4日から降雨があり、7日22時から8日4時の間は8か所で総雨量が100㎜を超えた。上呂観測所では7日から8日の総降雨量が304 ㎜であった。白川流域では、7月4日~6日まではまとまった降雨が見られたが、7日にはあまり降雨がなく白川口観測所で8日6時に23㎜が観測されている程度である。白川口観測所の水位は4 m程度であったが、8日の2時から5時にかけて急上昇し、その後10時まで10 m以上となったが氾濫には至らなかった。
2020年の氾濫では、7月6日~8日の降水量は飛騨川上流の上呂観測所で570 ㎜、白川口観測所では299 ㎜であった。上呂観測所の水位は7日24時までは5.5 mで8日2時に7.4 mまで上昇したが、その後下降している。白川口観測所の水位は7日13時の5.5 m程度から上昇し、8日8時に10 mを超え、9時に11.3 mとなり氾濫した。氾濫の直前の8時に白川口観測所付近で41㎜の激しい降雨があった。
2021年の氾濫では、8月13日~14日の降水量は上呂観測所で422 ㎜、白川口観測所で346 ㎜であった。上呂観測所で14日20時に時間雨量33 ㎜、白川口観測所で21時に時間雨量35 ㎜の降雨があった。白川口観測所の水位は14日に入って急速に上昇し、16時には10 mを超え、23時には11.3mとなり氾濫した。
白川口観測所の水位の上昇は、上流の上呂観測所と比較して著しく大きい。上呂付近では飛騨川の川幅が比較的広いのに対し、白川口から下流には「飛水峡」と呼ばれる狭窄部となっている。そのため、河川流量が増加すると水位の上昇が生じる。そのため飛騨川上流での降雨により飛騨川の水位が上昇することにより、合流する白川の水は合流・流下が妨げられる。2018年の白川口での増水は飛騨川の上流の降雨による。2020年の氾濫は、飛騨川上流の降雨により氾濫寸前まで水位が上昇しているところに、白川流域で激しい降雨があり、氾濫を生じた。2021年の氾濫は、飛騨川流域、白川流域ともに大雨となり、飛騨川の水位が上昇し、白川の水が滞水したためと考えられる。
白川口での増水・氾濫は、
1.飛騨川上流で大雨が降る
2.上流からの雨水が白川口へ到達し、飛騨川の狭窄部にて流れ切れなかった雨水により水位が上昇する。(第一のバックウォーター)
3.合流点にて水位が上昇した飛騨川に白川からの水が流れ込むことができず白川の水位が上昇する。(第二のバックウォーター)
といった順序で氾濫が発生したと考えられる。
キーワード:氾濫,バックウォーター現象,狭窄,豪雨,飛騨川、白川