[T2-P-23] (エントリー)早池峰超苦鉄質岩体カンラン岩の構造岩石学的特徴
キーワード:カンラン岩、早池峰超苦鉄質岩体、カンラン石ファブリック、背弧、最上部マントル
早池峰超苦鉄質岩体はオルドビス紀に島弧域で形成された岩体であり,岩石学的・地球化学的特徴から背弧的特徴をもつと考えられている(Ozawa, 1984, 1988, 2001; Ozawa & Shimizu, 1995; Yoshikawa & Ozawa, 2007).本研究では,早池峰超苦鉄質岩体カンラン岩の構造岩石学的特徴を明らかにすることを目的として,野外調査,組織構造観察,結晶方位分析,鉱物主要元素組成分析を実施した.結果として,早池峰岩体カンラン岩には組織構造と結晶粒径に多様性が認められ,カンラン石が粗粒(1-2mm)で不規則な粒界をもつ粗粒カンラン岩と,カンラン石が中粒(0.3-0.5mm)でやや直線的な粒界をもつ中粒カンラン岩に分けられた.粗粒カンラン岩のカンラン石結晶方位ファブリックはOzawa(1989)で報告された(010)[100]すべり系のA-typeまたはAG-typeで相対的に強い集中をもつ(J-index=2.0~4.0).さらに,結晶方位の集中度(J-index)が大きいカンラン岩はA-typeを示し,集中度が弱くなるとAG-typeに変化していく傾向が確認された.一方,中粒カンラン岩のカンラン石結晶方位ファブリックは非常に弱く(J-index=1.2~1.3),結晶方位タイプを決定することができなかった.鉱物主要元素組成分析の結果,部分溶融度はA-typeを示す粗粒カンラン岩,AG-typeを示す粗粒カンラン岩,中粒カンラン岩の順に低い傾向があった.本発表では,これらの結果を基にしてその形成過程を考察する.
【引用文献】Ozawa K. (1984), Journal of the Geological Society of Japan, 90, 697‒716. Ozawa K. (1988), Contributions to Mineralogy and Petrology, 99, 159‒175. Ozawa K. (2001), Journal of Geophysical Research, 106, 13407‒13434. Ozawa K. & Shimizu N. (1995), Journal of Geophysical Research, 100, 22315‒22335. Yoshikawa M. & Ozawa K. (2007), Gondwana Research, 11, 234–246.
【引用文献】Ozawa K. (1984), Journal of the Geological Society of Japan, 90, 697‒716. Ozawa K. (1988), Contributions to Mineralogy and Petrology, 99, 159‒175. Ozawa K. (2001), Journal of Geophysical Research, 106, 13407‒13434. Ozawa K. & Shimizu N. (1995), Journal of Geophysical Research, 100, 22315‒22335. Yoshikawa M. & Ozawa K. (2007), Gondwana Research, 11, 234–246.