一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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ポスター発表1
実態調査

2023年6月17日(土) 10:00 〜 10:30 ポスター会場 (1階 G3)

座長:尾崎 由衛(歯科医院 丸尾崎)

[P02] 当院における歯科訪問診療の実態調査と口腔衛生管理が残存歯数の減少に及ぼす影響

○飯田 健司1、煙山 修平1、末永 智美2,3、尾立 光1、金本 路2、吉野 夕香4、川上 智史1,5、會田 英紀1 (1. 北海道医療大学歯学部高齢者・有病者歯科学分野、2. 北海道医療大学在宅歯科診療所、3. 北海道医療大学病院歯科衛生部、4. 北海道医療大学病院医療相談・地域連携室、5. 北海道医療大学歯学部高度先進保存学分野)

【目的】
 当院では,平成17年から地域の保険医療機関や介護サービス事業所などと連携を図りながら歯科訪問診療を行っている。継続的歯科的な介入は口腔健康管理にとって欠かせないと考えている。今回は,当院が歯科訪問診療を実施している患者の欠損歯列の病態の推移に対して新型コロナウイルス感染症の流行があたえる影響を調べることを目的とした。
【方法】
 令和1年4月~令和4年3月までの3年間に歯科訪問診療を実施した全ての患者を対象として,後ろ向き調査を行い,各年度のデータを比較した。
【結果と考察】
 令和1,2,3年度の患者総数はそれぞれ280名(平均85.9±8.7歳、男性/女性:96/184名),263名(平均85.6±10.4歳,男性/女性:86/177名),255名(平均86.3±10.2歳,男性/女性:74/181名)であった。また,延べ診療件数はそれぞれ4,850件,3,548件,4,244件であった。令和2年度は新型コロナウイルス感染症の流行による診療制限があり,延べ診療件数は令和1年度と比較して約30%減少していた。一方で令和3年度の延べ診療件数は回復傾向が認められた。令和1年度から令和3年度までの3年間に歯科訪問診療を継続している患者は74名であり、そのうち、口腔衛生管理を継続して行っている患者が61名、継続して行っていない患者が13名であった。歯科訪問診療を継続している患者の74名のうち残存歯数が減少した患者は16名であった。この16名のうち口腔衛生管理を継続して行っている患者が11名,継続して行っていない患者が5名であった。3年間継続した口腔衛生管理を行っていたにもかかわらず残存歯数が減少した患者の11名のうち7名は,新型コロナウイルス感染症の流行により4か月間の口腔衛生管理の中断ののち6か月以内に,残存歯数の減少を認めた。以上の結果から,口腔衛生管理の中断は,残存歯数減少のリスクになることが示唆された。定期的に継続した口腔衛生管理を行うことは,口腔環境の維持・向上を行うとともに,歯科疾患の早期発見・早期治療につながり,欠損歯列の拡大を防止する期待ができると考えられる。
(COI開示:なし)
(北海道医療大学予防医療科学センター倫理委員会 倫理審査承認番号 第2021_014号)