一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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ポスター発表14
教育

2023年6月18日(日) 10:25 〜 10:45 ポスター会場 (1階 G3)

座長:吉岡 裕雄(日本歯科大学新潟病院 訪問歯科口腔ケア科)

[P72] 生体情報としての頸部聴診の体験が可能な新たな教育システムの構築の試み

○戸原 雄1、高橋 賢晃1、山田 裕之1、田中 祐子1、仲澤 裕次郎1、田村 文誉1、菊谷  武1 (1. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック)

【目的】
本学ではCOVID-19の感染拡大にともない,学生に歯科訪問臨床の体験実習の一環としてバーチャルリアリティーを用いた実習(以下VR)を行っている。今回,嚥下機能の評価としてもっとも一般的な頸部聴診音を動画に同期させることで頸部聴診の体験をすることを目的とした新たなシステムを開発したため報告する。
【方法】
当クリニックが定期的にミールラウンド,カンファレンスを行っている施設において,対象者の実際の食事場面を360度カメラにて撮影し,動画データを作成した。ミールラウンドの際の聴診音が録音可能な電子聴診器を用い,聴診音を録音し音声データを作成した。これらの動画データに音声データを再構築し教育ツールを作成した。当クリニックで臨床実習を行う学生にVRと実際の歯科訪問診療の体験実習の双方を行わせたのち,アンケート調査を行いその結果をテキストマイニング(NTT Text Mining Studio 7.1)を用いて検討を行った。
【結果と考察】
VRのアンケートの結果として,今回のVRに関連している「音」に共起される単語を抽出したところ,「聴診器」信頼度0.92,「聞く+できる」信頼度:0.88だった。同様に歯科訪問診療実習後のアンケートの結果において関連する単語の「患者」に共起された単語として「家族」信頼度:1.0,「状態」信頼度0.92などが抽出された。 本研究の結果より,VRに関してのアンケートは音の体験が可能であることへの意見が多く,実際の歯科訪問診療実習に関してのアンケートは患者自身の状態や周囲の環境への意見が多かった。今回行ったVRにより,頸部聴診の体験が可能となったことは一定の学習効果を得ることができたのではないかと考える。一方,VRと実際の歯科訪問診療実習とアンケート結果に乖離がみられたことから実際の場面の体験とVRとの間には相違があることが窺われる。今後改良を加えていくことが必要であると考える。 (COI開示:なし)
(日本歯科大学 倫理審査委員会承認番号 NDU-T2021-38)