一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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課題口演1
地域包括ケア・地域連携・多職種連携

2023年6月17日(土) 08:45 〜 10:05 第3会場 (3階 G304)

[課題1-3] タブレット端末を用いて撮影した口腔内動画上での多職種による口腔環境評価の有用性

○柳原 有依子1、鈴木 啓之1、古屋 純一2,3、中川 量晴3、中根 綾子3、吉見 佳那子3、戸原 玄3、水口 俊介1 (1. 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野、2. 昭和大学 歯学部 口腔機能管理学部門(旧・高齢者歯科学講座)、3. 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【目的】
タブレット端末に搭載されたカメラ機能により撮影した口腔内動画を用いて,多職種による遠隔的な口腔環境評価の実施が可能であれば,医療の効率化などの観点から有用であるが,その有用性に関する報告は少ない。そこで我々は,タブレット端末を用いて撮影した口腔内動画による,多職種による口腔環境評価の有用性を検討した。
【方法】
研究対象者は,2022年1月から9月までに,栄養管理目的で当院Nutrition Support Team (NST)へ依頼となった入院患者38名(平均年齢69.6±11.0歳)とした。ベッドサイドにて口腔環境評価,タブレット(iPad Pro, Apple社,アメリカ)を使用した口腔内動画撮影を行うとともに,撮影動画上での口腔環境評価を行った。口腔環境評価は,Oral Health Assessment Tool (OHAT)を用いて行い,ベッドサイドでは一名の歯科医師(以下OHAT-B),動画上では二名の歯科医師(以下OHAT-VD1,OHAT-VD2)および一名の看護師(以下OHAT-VN)により評価を行った。なお,OHAT-BおよびOHAT-VD1の評価者は同一歯科医師であり,ベッドサイドにおける評価から2週間後に動画上にて評価を行った。また,事前に評価者間の十分なキャリブレーションを行った。OHAT-B合計点とOHAT-VD1合計点,OHAT-VD1合計点とOHAT-VD2合計点およびOHAT-VN合計点の級内相関係数を算出した。統計解析はSPSS Ver.25を用いて行い,有意水準は5%とした。
【結果と考察】
研究対象者におけるOHAT-B,OHAT-VD1,OHAT-VD2,OHAT-VNの合計点の平均値はそれぞれ3.7±2.2,3.6±2.1,3.9±2.1,3.6±2.2であった。OHAT-B合計点とOHAT-VD1合計点の級内相関係数は0.918であり,OHAT-VD1合計点とOHAT-VD2合計点およびOHAT-VN合計点の級内相関係数はそれぞれ0.899,0.806であった。これより,タブレット端末を用いて撮影した口腔内動画上での口腔環境評価の有用性が示唆され,さらに,多職種による口腔内動画上での適切な口腔環境評価を実施できる可能性が示された。
(COI開示:なし)
(東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会承認 D2021-109)