12:00 〜 13:00
[WS1-03] 脳神経所見のみかた
脳神経所見における観察では、意識障害や瞳孔所見、運動障害といったモニタリングでは確認できない所見が多く、看護師の観察力が重要な分野である。特に、脳は、頭蓋内圧、脳代謝、脳循環といった要素によって機能を保っており、早期発見が患者のその後の生命やQOLを大きく左右することも多い。そのため、看護師は患者の小さな変化を敏感に察知する必要がある。 脳神経所見をみるうえで、特に重要となってくる「意識」については、バイタルサインの1つであるという捉え方を再認識してもらいたい。また、脳そのものに障害がある一次的中枢神経系意識障害と脳以外の臓器に機能障害がある二次的中枢神経系意識障害について学んでもらい、意識障害=脳と思われがちであるが、約40%は脳以外の臓器による二次的中枢神経系意識障害だということを認識し、総合的に観察できる視野を習得してもらいたいと考える。そのためにも、脳のはたらきに必要不可欠となる頭蓋内圧、脳代謝、脳循環にも触れ、解剖生理の面からも説明する。これらのことを理解してもらうことで、脳神経所見をみるには、全身状態の観察とアセスメントが必須の分野であることがわかる。観察のポイントの面では、ジャパンコーマスケール(以後JCS)、グラスゴーコーマスケール(以後GCS)をはじめ、瞳孔所見やMMT、言語障害など、基礎的な所見をはじめとし、すぐにベッドサイドで活用できるものを中心に、観察のポイントとともに進行していく。 昨今では、中枢神経モニタリングの躍進はあるものの、ベッドサイドにおける脳神経所見の観察では、身体症状から神経学的機能を評価するという看護師の観察力が最も重要となる分野である。さらに、クリティカルケアにおけるものになれば、全身状態の重症度も高いため、さらなる細やかな観察と迅速な判断や対応が必要になる。脳神経所見におけるアセスメントの向上につながることができるよう、展開していきたい。