一般社団法人日本学校保健学会第68回学術大会

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一般演題(口演)

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O-50~O-55 特別支援教育/インクルーシブ教育

座長:竹鼻 ゆかり(東京学芸大学)

[O-54] 算数障害の不安に関する研究の文献検討

佐々木 翼1,2, 馬場 詩央里1, 平野 好幸2,3, 清水 栄司1,2,3 (1.千葉大学大学院医学研究院 認知行動生理学, 2.千葉大学子どものこころの発達教育研究センター, 3.大阪大学大学院連合小児発達学研究科千葉校)

キーワード:算数障害、不安、文献検討

【目的】算数障害は,数字の概念や数の計算等の習得に困難を抱える発達障害である.発達障害を抱える子は不安傾向が高いとされている.そこで本研究は,算数障害の不安に関する先行研究の文献レビューを通して,算数障害を抱える子の不安に対する研究の現状と課題を明らかにすることを目的とした.【方法】論文検索サイトCiNii Research, J-Stage, 医中誌web,Google Scholarで検索を行った.検索キーワードには,「“算数障害”AND“不安”」,「“ディスカリキュリア”AND“不安”」を用いた.検索サイトで抽出された論文は発行時期や論文種別を問わずに分析対象とした.一方で,重複しているものや算数障害や心理的支援について触れられていないもの,児童生徒の年齢が対象でないもの,学会発表時の抄録,学位論文,書籍は除外対象とした.【結果】検索の結果,76件の論文がヒットしたが,内容を精査した結果,15件の論文をレビュー対象とした.レビュー結果より,算数障害は,学習上のつまずきが努力不足とみなされることや,対人関係の不得手などによる問題を抱えており,2次障害として,不安を感じていることが明らかになった.【考察】本研究より,算数障害の不安は2次障害として生じる可能性が示唆された.今後は,2次障害を防ぐための手立てとして,教育現場における算数障害を抱えた子の不安に対する教育的支援の実践報告や不安予防プログラムの開発を推進することが必要と考えられる.