第16回日本地震工学シンポジウム

ご挨拶

 
 4年に一度の日本地震工学シンポジウム(Japan Earthquake Engineering Symposium)である「第16回日本地震工学シンポジウム(16JEES)」を2023年に開催します。前回(15JEES、仙台市)は2018年の開催でしたので、本来は2022年の予定でしたが、コロナ禍により「第17回世界地震工学会議(17WCEE:仙台市)」が2020年から2021年に延期されたのに伴い、16JEESも1年遅れての開催となりました。奇しくも2023年は関東大震災の100周年であり、100年前に強震・火災・液状化・崖崩れなどによる複合的な大震災を経験した横浜市(パシフィコ横浜ノース)を会場として、2023年11月23日~25日にかけて開催することになりました。

 16JEESは日本地震工学会を幹事学会として、日本建築学会、土木学会、地盤工学会、日本地震学会、日本機械学会、地域安全学会、日本活断層学会、日本災害情報学会、日本災害復興学会、日本自然災害学会、さらには今回から日本都市計画学会を新たに加えた計12学会の共同主催で行われます。今回は一般論文セッション、オーガナイズドセッションのほか、関東大震災から100年を振り返り、今後100年の地震工学を考える特別セッションなども企画しています。また前回と同様にシンポジウム開催後に、発表論文をもとに改めて査読付きの論文等にまとめたものを日本地震工学会論文集特集号に編纂する予定です。

 今回のテーマは「関東大震災から100年を経て、今後100年の地震工学を考える〜過去に学び、複合化する激甚災害に備えた持続可能な社会を目指して~」としました。過去100年は成長の時代であり、関東大震災から阪神・淡路大震災、東日本大震災など様々な震災を経て、地震工学は目覚ましい進展を遂げ、被害の軽減に寄与してきました。一方、今後100年は少子高齢化・人口減などで低成長の時代となり、財政難で老朽化する社会インフラが懸念されるなかで南海トラフや相模トラフ、日本海溝・千島海溝などの海溝型巨大地震から、首都直下地震や活断層帯地震など様々なタイプの震災に備える必要があります。さらには、地球温暖化等の影響による風水害・土砂災害の激甚化、新型コロナウィルスなど感染症によるパンデミックなど、地震災害と併せて複合災害(マルチハザード)への対応も必須となりつつあります。今後、複雑で多様化する災害に対して限りある資源をどう有効活用し、レジリエントで持続可能な社会をどう実現するのか、分野を超えて知見を結集することが求められています。本シンポジウムは、5年ぶりの幅広い分野の関係者が一堂に会する場となりますので、地震工学の過去と未来を考えるこの絶好の機会をぜひご活用ください。
 
2022年9月1日
第16回日本地震工学シンポジウム運営委員会
委員長 久田嘉章