日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[I-29-10_12] 畜産物利用(I-午前)

2019年3月29日(金) 10:30 〜 11:00 第I会場 (8号館8301講義室)

座長:松石 昌典(日獣生科大)

10:30 〜 10:40

[I29-10] 加熱調理した牛肉におけるDMHF生成に影響する要因

遠藤 南1, 横山 壱成1, 小笠原 英毅1, 大畑 素子2, 小宮 佑介1, 長竿 淳1, 有原 圭三1 (1.北里大獣, 2.日大生物資源)

【目的】牛肉を加熱調理するとメイラード反応が起こり,2,5-dimethyl-4-hydroxy-3(2H)-furanone(DMHF)というカラメル様香気を呈する成分が生じる.DMHFは,嗜好性の向上に加えて,副交感神経活動の活性化などの作用を有する.したがって,加熱によるDMHF生成は,牛肉の潜在的価値を引き出すことにつながる.本研究では,加熱調理した牛肉中におけるDMHF生成量に影響する要因の解明を目指した.
【方法】豪州産牛肉を,4℃で0,1,3,5,7,9週間保存し,熟成牛肉を調製した.また,夏山冬里方式で飼養される北里八雲牛を,放牧期および舎飼い期にと畜して牛肉を得,運動強度の違いによる影響を検討した.DMHFの定量は,小林ら1)の方法を参考にして行った.
【結果】牛肉におけるDMHF生成量は,熟成1週目に増加したが,その後減少した.この際,熟成に伴って遊離アミノ酸含量が増加した.一方グルコースは,熟成開始後3週目にかけて増加したが,5週目にかけて急激に減少し,これがDMHFの減少に関連することが推定された.北里八雲牛では,放牧期および舎飼い期に得られた牛肉間での傾向が見られず,個体レベルでの差が大きかったため,現在,関与する要因を検討している.
1)小林正人,佐々木整輝,内山京子. 2018. 食肉の科学. 59: 111-112.