日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[I-29-13_14] 畜産物利用(I-午前)

2019年3月29日(金) 11:00 〜 11:20 第I会場 (8号館8301講義室)

座長:有原 圭三(北里大獣)

11:00 〜 11:10

[I29-13] レトルト加熱が誘発する食肉のタンパク質分解と機能性の探索に関する研究

片山 康二朗1, 田中 優花2, 谷澤 里紗2, 長澤 麻央1,2, 林 利哉1,2 (1.名城大院農, 2.名城大農)

【目的】近年,保存性や利便性が評価され,即食を可能にするレトルト食品の需要は高まっている.また,健康を意識したニーズも多く,特に食肉は成長や健康維持に必要なタンパク質の供給源である.レトルト加熱は食肉の変性や分解を誘発し,さらにそれらが体内で酵素消化されることで派生する低分子ペプチド等には機能性効果が期待される.そこで,レトルト食肉製品の高付加価値を目的とし,レトルト加熱を施した食肉タンパク質における血圧上昇抑制効果を評価した.【方法】豚ロース肉から筋原線維タンパク質(Mf)を抽出し,通常加熱(75℃)及びレトルト加熱(125℃)を施したもの,さらにそれらを酵素消化したものを試料とした.加熱および酵素消化に伴うタンパク質分解の程度について,各試料のペプチド及び遊離アミノ酸濃度を測定した.機能性については,血圧上昇抑制効果のin vitro 指標であるアンジオテンシンI変換酵素(ACE)阻害活性を評価した.【結果】レトルト加熱区において,より多くのペプチドおよび遊離アミノ酸が派生することが示唆された.また,ACE阻害活性評価では,除タンパク質および酵素消化した試料が通常加熱区と比較してレトルト加熱区で高いACE阻害活性を示した.以上の結果より,レトルト加熱は通常加熱に比べてタンパク質の過度な変性・分解を引き起こすため,酵素消化されやすく,より高い機能性効果を発現することが示唆された.