日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[II-29-13_15] 栄養・飼養(II-午前)

2019年3月29日(金) 11:00 〜 11:30 第II会場 (8号館8302講義室)

座長:浅野 早苗(日大生資科)

11:00 〜 11:10

[II29-13] 生体捕獲し短期間放牧飼育したエゾシカの肥育成績と肉成分

林田 まき1,2, 菊地 華奈子3, 原口 智江3, 渡辺 一貴3, 大久保 倫子3, 相馬 幸作3, 増子 孝義4 (1.東農大短生, 2.東農大動物, 3.東農大北農, 4.ユーバス(株)増子事務所)

【目的】北海道では野生エゾシカを短期飼育して食肉利用しており,これまでに農業副産物や産業廃棄物の飼料化に取り組んできた.本研究では,さらなるコスト削減を目指し,エゾシカを放牧のみで飼育して枝肉成績および肉成分を調査した.【方法】2016年2月および3月に根室市の有限会社ユックおよび釧路市の前田一歩園財団の所有地でそれぞれ生体捕獲した13頭(雌7頭および雄6頭)を供試動物とした.雌雄合わせて7頭を網走市の東京農業大学生物産業学部エゾシカ飼育施設(対照区)に,6頭を斜里郡の知床エゾシカファーム(放牧区)に輸送した.対照区では乾草,アルファルファヘイキューブおよびビートパルプ(BP)を給与し,放牧区では放牧地で自由に採食させ,全ての個体を10月に解体した.放牧区ではコドラート法で牧草の生育調査を行った.全ての個体の飼料摂取量,体重および枝肉成績を調査し,さらに各3頭の肉成分を測定した.【結果】乾物摂取量は放牧区で多く,牧草に多い粗蛋白質の摂取量も多かった.また,対照区で給与した乾草にK,ZnおよびCuが少なく,BPにMgとPが少ないことから,摂取量は放牧区で多かった.逆にBPに多いNaの摂取量は放牧区で少なかった.屠畜時の体重と枝肉重量が放牧区で有意に重く,放牧のみで飼育できる可能性が示唆された.肉成分においては,放牧区で水分が多く,蛋白質,粗灰分,K,MgおよびPは少なかった.