日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[II-29-18_20] 栄養・飼養(II-午後)

2019年3月29日(金) 13:00 〜 13:30 第II会場 (8号館8302講義室)

座長:櫛引 史郎(農研機構畜産部門)

13:10 〜 13:20

[II29-19] 「たちすずか」イネWCSの多給が分娩後の乳牛の生産性に及ぼす影響

諸岡 佳恵1, 犬飼 愛1, 都丸 友久2, 湯野川 景人2, 西村 瞳3, 中島 純子3, 樋口 浩二4 (1.千葉畜総研, 2.群馬畜試, 3.長野畜試, 4.農研機構畜産部門)

【目的】 チモシー乾草または「たちすずか」イネWCSを飼料乾物中に35%混合した発酵TMRの給与が,分娩後乳牛の飼料摂取量,乳生産性等に及ぼす影響を検討した.
【方法】 3県の公設試験場で管理する次産次が2産以上のホルスタイン種乳牛18頭をチモシー乾草を飼料乾物中に35%含む発酵TMRを給与する対照区に9頭,対照区飼料のチモシー乾草の全量を「たちすずか」イネWCSに置き換えた発酵TMRを給与するたちすずか区に9頭を配置し,分娩予定3週間前から分娩後12週まで飼養試験を行った.両区の給与飼料の乾物中のCP,TDNおよびNFC割合はトウモロコシ,大麦および大豆の混合割合を変えることで同様になるように調整した.飼料給与は分娩前3週から分娩までは各県の慣行飼料を給与し,分娩後は各区試験飼料を飽食させた.搾乳は朝夕の2回とした.
【結果】 乾物摂取量と乳量はたちすずか区が低かった(P<0.01).乳成分は,乳蛋白質が対照区で高く,MUNはたちすずか区で高かった(P<0.01).また,ルーメン液では,総VFA中の酢酸割合はたちすずか区で高く,プロピオン酸割合は対照区が高かった(P<0.01).以上より,たちすずか区の易発酵性炭水化物が想定より少なかった可能性が示唆され,泌乳牛飼料へ「たちすずか」イネWCSを35%混合する場合は易発酵性炭水化物について検討が必要と考えられた.