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[IIYS-04] ニワトリの攻撃行動のパターンを制御する分子基盤の解明
【目的】広い空間で多群管理を行う採卵鶏の放し飼いシステムでは,攻撃行動による死亡率の著しい増加が世界的に問題となっている.本研究では,新たに発見された攻撃行動のパターンが異なる大軍鶏の2集団(攻撃型と防御型)を用い,ゲノムワイドな解析手法の組み合わせにより,鶏の攻撃行動のパターンを制御している分子基盤を解明することを目的とした.【方法】<1>大軍鶏の2集団から計46羽を供試し,組み合わせを変えた対面テストを行い,攻撃型および防御型の行動パターンの頻度を測定した.<2>計45羽の全ゲノムシーケンシングを行い,集団ゲノム解析により抽出したSNPからFST値を算出し,2集団間の選択的一掃を受けた集団特異的領域,および領域上の遺伝子を抽出した.<3>計4羽の脳の視床下部を採取し,RNA-seqにより遺伝子発現量を2集団間で比較すると共に,GO解析を行った.【結果】<1>攻撃型および防御型それぞれにおいて,対面相手に関わらず,各型特有の行動パターンが雌雄共に観察された.<2>FST≧0.3を示す集団特異的領域を6つ発見し,その領域上に神経細胞の分布や免疫応答に関わる計14遺伝子を見出した.<3>有意な12個のGO termを抽出し,その多くは免疫システムに関するものだった.以上の結果より,鶏の攻撃行動のパターンは,神経細胞の分布様式および免疫システムに関連している可能性が示唆された.