13:30 〜 13:40
[IX29-18] ブタの初乳と常乳の遊離アミノ酸濃度における種差について
【目的】哺乳類の初期栄養としての母乳成分においては,乳脂肪,乳タンパク質,乳糖などの含量に大きな関心が払われる.一方で,それらの栄養素は消化の過程を必要とするが,母乳中の遊離アミノ酸には消化を必要とせず吸収されるという利点がある.実験動物においては飼料にアミノ酸を添加することで,母乳の遊離アミノ酸組成に変化が認められている.豚の品種に関わらず,母豚用の飼料は同じものが供給されている.もし,品種によって母乳の遊離アミノ酸に違いがあれば,子豚の栄養を考慮し,新たな飼料を与えることが有益になる可能性がある.本実験では,大ヨーク(W),ランドレース(L)およびデュロック(D)の初乳と常乳の遊離アミノ酸を比較することを目的とした.【方法】W,LおよびDをそれぞれ5頭用い,初乳は分娩当日,常乳は分娩後13日に採取した.採取した母乳から遠心濾過フィルターを用いて遊離アミノ酸を得た後にPicotagの分析に供した.結果は2元配置分散分析で行った.【結果】検出されたアミノ酸関連物質は9種であった.グルタミン酸は初乳に比して常乳で高濃度であったが,3-メチルヒスチジンは逆に常乳で低かった.タウリンはWの初乳で高かった.すべての種でカルノシンは初乳に比べ常乳で高くなったが,Dにおける上昇は他に比べ大きくなかった.プロリンは初乳のみで検出されたが,種による違いは認められなかった.