日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[IX-29-21_24] 栄養・飼養(Ⅸ-午後)

2019年3月29日(金) 14:00 〜 14:40 第IX会場 (8号館8502講義室)

座長:塚原 隆充(栄養・病理研)

14:00 〜 14:10

[IX29-21] 好熱菌Bacillus hisashiiの経口給与が豚の腸内環境と脂肪蓄積に与える影響

井藤 俊行1,2, 池原 彩3, 梶原 悠2, 石井 千歳4,5, 辻 直子4, 松浦 真紀子4,1, 須田 亙5, 服部 正平5, 児玉 浩明1, 宮本 浩邦1,4,5 (1.千葉大院・園芸, 2.京葉プラントE, 3.平田牧場, 4.サーマス, 5.理研IMS)

【目的】好熱菌Bacillus hisashii (国際寄託番号BP-863)は,ブタやニワトリの成長促進や病気抑制効果などを示す.LWDやバークシャー種のブタでは,腸内フローラの変化,特に乳酸菌Lactobacillus sp.の増加やStreptococcus sp.の減少,並びに脂質代謝や有機酸代謝の改善効果が確認されている.本研究では,LDBにおいても同様に好熱菌の効果が認められるか否かを検証した.
【方法】供試対象としてLDB種を用いて,好熱菌の継続給与後の腸内環境を網羅的に解析するとともに,出荷時の体脂肪に与える影響を評価した.
【結果・考察】対照区,試験区ともに安定的した成績で成長したが,肩ロースの脂肪量を解析した結果,試験区にて顕著な改善効果が認められた.一方,過酸化脂質量は,両区共に極めて低く抑えられていた.これらの生産過程における子豚の排泄糞を解析した結果,健全性の指標である乳酸の濃度が低くなった.さらに,次世代シーケンサーによる解析の結果,これまでの他の農場の給与試験では確認できなかったCoprococcus sp. やDialister sp.などの特徴的な菌種のポピュレーションの変化が確認された.以上の結果から,好熱菌を給与したLDB種では,従来の品種とは異なる腸内フローラの変化を伴った,脂肪蓄積の軽減や有機酸の利用効率の改善効果が確認された.