[P29-03] レジスタントスターチ投与による乳用子牛の腸内環境改善のための基礎的検討
子牛の下痢を伴う感染性腸炎の治療・予防法として,抗菌物質の多用は薬剤耐性菌の出現を引き起こすことが懸念される.近年,腸内細菌は宿主免疫システムの構築に重要であることが着目されている.本研究では腸内環境改善のための基礎的知見を得ることを目的とし,プレバイオティクス効果が期待されるレジスタントスターチ (RG) の子牛への投与による腸内環境への影響を検討した.
生後5-6日後から3週間RGを含むミルクを与えたホルスタイン5頭 (RG群) および対照群5頭 (CT群) における投与前・投与3週間後の糞便を検体として用いた.細菌叢解析として次世代シーケンス細菌16Sアンプリコン解析(NGS),腸内環境解析として短鎖脂肪酸9種類およびpHを測定した.
NGSの結果,RG群ではCT群と比較して細菌叢に変化が認められた.特に,Blautia属の構成比が生後3週間後に増加し,大腸菌群は減少した.Blautia属は短鎖脂肪酸を生成し,大腸菌群は感染性腸炎の原因菌であることが知られている.短鎖脂肪酸分析の結果,CT群では短鎖脂肪酸9種類の総量が減少したが,RG群では増加した.また,CT群におけるpH値の上昇に対し,RG群ではpH値が上昇しなかった.このことから,短鎖脂肪酸の生成がpHの維持に関与していると推察された.以上の結果から,RG投与は子牛の腸内細菌環境改善に影響を及ぼす可能性が示唆された.
生後5-6日後から3週間RGを含むミルクを与えたホルスタイン5頭 (RG群) および対照群5頭 (CT群) における投与前・投与3週間後の糞便を検体として用いた.細菌叢解析として次世代シーケンス細菌16Sアンプリコン解析(NGS),腸内環境解析として短鎖脂肪酸9種類およびpHを測定した.
NGSの結果,RG群ではCT群と比較して細菌叢に変化が認められた.特に,Blautia属の構成比が生後3週間後に増加し,大腸菌群は減少した.Blautia属は短鎖脂肪酸を生成し,大腸菌群は感染性腸炎の原因菌であることが知られている.短鎖脂肪酸分析の結果,CT群では短鎖脂肪酸9種類の総量が減少したが,RG群では増加した.また,CT群におけるpH値の上昇に対し,RG群ではpH値が上昇しなかった.このことから,短鎖脂肪酸の生成がpHの維持に関与していると推察された.以上の結果から,RG投与は子牛の腸内細菌環境改善に影響を及ぼす可能性が示唆された.