[P29-41] 複数産次の記録が得られる豚生存産子数における遺伝的パラメーター推定モデルの検討
【目的】豚の生存産子数を想定したデータを発生させ，初産と２産および３産を別形質とした２形質モデルにより推定された遺伝的パラメーターについて検討した．【方法】100反復のモンテカルロ・シミュレーションにより，世代重複のない無作為選抜による５世代の血統データを発生させた．世代あたりの種雌頭数は400頭とし，雄１頭に雌10頭を交配し，３産までの記録を発生させた．表型分散を１，相加的遺伝分散を0.1とし，無限遺伝子座モデルにもとづき，異なる永続的環境分散（0，0.05，0.10の３通り）および初産と２・３産の間の遺伝相関（0.8，0.9，1.0の３通り）により記録を発生させた．遺伝的パラメーターは，初産と２・３産を別形質とみなした２形質アニマルモデルを用いて推定した．【結果】相加的遺伝分散の推定値の平均は，永続的環境分散を０とした場合には真値と同程度であったが，永続的環境分散が０でない場合，例えば，永続的環境分散を0.10および遺伝相関を0.9としたとき，初産および２・３産でそれぞれ0.16および0.15と過大に，また，永続的環境分散は0.06と過小に推定された．遺伝相関の設定値を変更しても同様の傾向が得られた．以上より，繰り返し記録に対し本モデルを当てはめた場合，永続的環境効果の存在により，相加的遺伝分散や永続的環境分散の推定値が偏る可能性が示唆された．