日本畜産学会第125回大会

講演情報

ポスター発表

[P-29-39_47] 一般演題(ポスター発表)<育種・遺伝>

2019年3月29日(金) 09:00 〜 15:30 ポスター会場・展示 (大教室)

[P29-43] 肉牛におけるメタン産生能と牛生体・ルーメン微生物叢の関係

平井 洵1, 前田 友香2, 松尾 歩1, 陶山 佳久1, 寺田 文典1 (1.東北大院農, 2.宮崎畜試)

【目的】地球温暖化緩和の為に牛から産生されるメタン削減は必須であるが,同時に生産性向上も重要である.本研究では,日増体量あたりのメタン産生量(CH4/DG)の低い黒毛和種肥育牛の血液・ルーメン液性状の特性を評価し,育種選抜によるCH4/DG削減の可能性について検討した.
【材料と方法】黒毛和種去勢牛41頭(11ヶ月齢,303.5±21.4 kgBW)を用いて肥育を行い,15,30ヶ月齢時に血液およびルーメン液を採取した.上本ら(第124回大会)の推定式を用いて各個体のCH4産生量を算出した.全個体をCH
4/DG低(L, n=12),中(M, n=15)および高(H, n=14)の3区に分類し,血液・ルーメン液性状,ルーメン細菌叢および枝肉成績について評価した.
【結果】15
ヶ月齢時の血漿成分において,A/G比はLで最も高く,T-CHO,TGおよびBUN濃度はHで最も高い値を示した.15ヶ月齢時のルーメン細菌叢において,Clostridiaceae科%がLで高く,Methylacidiphilaceae科%がMで低い傾向が見られたが,菌叢パターンの違いは認められなかった.また,枝肉重量および胸最長筋面積はLで最も高かった.以上の結果より,CH4/DG高低によって,1)いくつかの血漿成分濃度およびルーメン細菌の生育割合が異なること2)CH4/DGの低い個体の選抜は産肉性改善と矛盾しないことが示唆された.