日本畜産学会第125回大会

講演情報

ポスター発表

[P-29-48_57] 一般演題(ポスター発表)<畜産物利用>

2019年3月29日(金) 09:00 〜 15:30 ポスター会場・展示 (大教室)

[P29-50] 光を用いた牛乳の品質検査
Optical evaluation of milk

松元 健1, 勝亦 徹2, 相沢 宏明2, 小室 修二2, 伊藤 繁夫2 (1.(株)マツモト精密工業, 2.東洋大理工)

光を使って非破壊で牛乳の品質検査ができれば,迅速な全量検査が可能になる.しかし牛乳は,ミー散乱を生じる脂肪粒子やレイリー散乱を生じるタンパク粒子などの光散乱体を多量に含む白色不透明な液体である.このため牛乳に照射した光のほとんどは散乱によって失われてしまう.光吸収スペクトルを使った検査では,牛乳から十分な強度の透過光を得るために強力な光源が必要である.しかし,強力な光を牛乳に照射することによって牛乳の重要な成分であるリボフラビン(ビタミンB2)が分解される現象(光劣化:Photodegradation)が起きるなどの問題があった.この研究では,光を使って牛乳を検査するために後方散乱光と蛍光を使った品質検査法について検討を行った.
 種々の脂肪含有量および,たんぱく質含有量の牛乳標準試料を調整し,紫外~近赤外までのLEDの光を牛乳に照射した際の後方散乱光を測定した.後方散乱光強度の検量線は,脂肪含有量およびたんぱく質含有量に対して良い直線性を示した.紫外~青色光のLEDを照射光として用いた場合に,波長545 nm付近にピークを持つリボフラビン(ビタミンB2)の蛍光が見られた.また,牛乳からの蛍光には光劣化(Photodegradation)の現象が見られた.蛍光測定の条件を最適化することにより牛乳による光散乱やPhotodegradationによる影響が低減可能であることがわかった.