[P29-52] 筋原線維とアクトミオシンのADP分解活性
【目的】アクトミオシン(AM)はアクチンとミオシンの結合物であり,ATPを分解してADPとリン酸にすることはよく知られている.各種リン酸塩がAMを解離させる現象を調べる過程で,筋原線維がADPを分解していると考えられる現象を見出したので,その詳細を調べた.【方法】筋原線維ならびにAMは市販のトリ胸肉から常法により調製した.それらのADP分解活性は,遊離したリン酸をモリブデン酸アンモニウムとアミドール試薬で発色させる方法で測定した.ATP, ADP, AMPは逆相系カラムShimpak CLC-ODS(M)を用いたHPLCにより定量した.【結果】ADPに筋原線維とAMを作用させた結果,いずれにも約0.01 µmol Pi/min/mgの分解活性が認められた.次に,AMを10 mM Tris-HCl(pH 7.2)/0.2 M KCl/1 mM NaN3/0.02% Triton X-100に懸濁した後,遠心分離して上清と沈殿に分け,それぞれの画分のADP分解活性を測定した.その結果,活性はいずれにも認められなかったが,上清と沈殿を再混合したものには活性が認められた.AMを0-20分間作用させたADPをHPLCで分析した結果,AMPが経時的に増加した.また,作用20分間では,少量のATPも検出された.これらの結果は,AMには2ADP→ATP+AMPを触媒するミオキナーゼが吸着していることを示唆している.