[P29-53] アカエゾマツを用いて燻煙したベーコンの品質特性について
【目的】北海道の森林に多く生育している針葉樹のアカエゾマツは管理する際に間伐が必要となるが,間伐材は森林に放置されている現状である.針葉樹を用いた燻煙は一部の地域で実施されているが,ほとんどが広葉樹によるものである.本研究では,アカエゾマツが食肉製品製造時の燻煙工程で燻材として利用できるかについて,サクラチップを用いた製品の品質と比較した.【材料と方法】市販の豚バラ肉を乾塩漬法により1週間冷蔵庫内で塩漬し,アカエゾマツの枝を乾燥させ,皮を剥いで角切りにしたチップと市販のサクラチップを用いてベーコンを調製した.真空包装後,10℃以下で28日間保存した各試料の品質を残存亜硝酸根,pH,色調及び油脂の変質試験[酸価(AV),チオバルビツール酸価(TBA)及び過酸化物価(POV)],及び微生物検査を実施した.さらに,ベーコンの試食アンケートを実施しサクラチップと比較した.【結果】各試料の保存28日間後におけるpHや色調に大きな違いは見られなかった.保管中にAV値及びTBA値は変化しなかったが,POV値は保管期間の進行に伴い共に同程度上昇した.E.coliとサルモネラ属菌の判定は陰性であった.試食アンケートではサクラチップの方が食べ易いと思う人が多かったが,嗜好性ではアカエゾマツの方が高い結果となった.以上の結果からアカエゾマツの枝は風味に特徴のある新たな燻材として有効であることが分かった.