日本畜産学会第125回大会

講演情報

ポスター発表

[P-29-62_64] 一般演題(ポスター発表)<管理・環境>

2019年3月29日(金) 09:00 〜 15:30 ポスター会場・展示 (大教室)

[P29-64] 資源分散型簡易福祉ケージにおける産卵鶏の行動および資源利用:ケージレイアウト2種の比較

菊池 貴子, 植竹 勝治, 田中 智夫 (麻布大院獣)

国際的にアニマルウェルフェア(AW)に配慮した鶏の飼育方法へ転換する流れがあるが,現在日本では産卵鶏の90%以上が従来型ケージで飼養されている.従来型ケージは,主に鶏の行動の制限が問題とされる.本研究は導入が容易なAWに配慮した産卵鶏の飼育方法の開発を目的として従来型ケージの改良を行った.従来型ケージ6個を結合し,長方形,正方形のケージを4ケージずつ作製し,それぞれに止まり木,巣箱兼砂浴び場,爪研ぎを設置した.巣箱兼砂浴び場には敷材として人工芝を設置した.54週齢の白色レグホーン56羽を各ケージ7羽ずつ収容し,10分間隔の瞬間サンプリング法により鶏の行動と利用場所を記録した.また,ビデオ録画により産卵前30分間の鶏の行動について連続記録を行った.鶏の行動,利用場所ともにケージ間で有意差は認められなかった.砂浴び様行動は,長方形ケージにおいて巣箱兼砂浴び場で多く認められ(P<0.01),正方形ケージにおいては場所による有意差は認められなかった.産卵は,どちらのケージでも巣箱兼砂浴び場で多く認められた(P<0.01).複数の鶏が同時に巣箱に滞在している割合は,長方形ケージで48.0%,正方形ケージで45.9%であった.結果より,従来型ケージを改良した簡易福祉ケージの有用性,特に,長方形ケージでは巣箱兼砂浴び場の利用がより多く認められ,その有用性が示された.