日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[V-29-01_03] 繁殖・生殖工学(V-午前)

2019年3月29日(金) 09:00 〜 09:30 第V会場 (8号館8401講義室)

座長:西村 亮(鳥取大獣)

09:10 〜 09:20

[V29-02] ニューロキニン作動薬の持続投与が家畜の繁殖機能に及ぼす影響

山村 崇1, 松山 秀一2, 中村 翔3, 若林 嘉浩1 (1.農研機構畜産部門, 2.名大院生命農, 3.岡理大獣)

【目的】脳の視床下部弓状核に存在するKNDyニューロンが繁殖制御を司る中枢の一翼を担い,その中で神経伝達物質であるニューロキニンB(NKB)がKNDyニューロンを刺激し,それに伴う黄体形成ホルモン(LH)分泌を制御する重要な因子であることが明らかにされつつある.そこで,我々は,NKBを用いた繁殖制御法を開発するために,NKB作動薬の持続投与が家畜のKNDyニューロン活動やLH分泌に及ぼす影響を検討した.【方法】卵巣摘出を施した(OVX)ヤギとウシおよびこれらにステロイドホルモンを代償投与した条件で試験を行った.既存のNKB作動薬(センクタイド)を末梢血中へ持続投与し,KNDyニューロンの神経活動(ヤギ)及びLH分泌(ヤギ及びウシ)を解析した.【結果】ヤギにセンクタイドを持続投与した結果,KNDyニューロンの脈動的な神経活動の頻度が上昇した.同量のセンクタイドの持続投与は,ステロイドホルモン代償投与ヤギとウシではLHのパルス頻度が亢進し血中濃度も増加した一方,OVXヤギとウシでは抑制された.【結論】NKBの効果は中枢に対しては促進的であるものの,LH分泌に対しては個体のステロイドホルモンの状態に応じて促進的あるいは抑制的に作用することが示唆され,繁殖制御においては投与量の最適化が重要であると考えられた.