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[VI29-21] 黒毛和種肥育牛のレジリエンス形質における遺伝的パラメーターの推定
【目的】予測値と観測値から得られる平均平方二乗誤差(RMSE)の程度が,ストレス指標であるレジリエンス(復元力)として提案されている(Putzら,2018).本研究では,黒毛和種肥育牛のレジリエンス形質における遺伝的パラメーターを推定した.【方法】黒毛和種間接検定集団4,578頭の経時的検定記録から,各個体の濃厚飼料摂取量(FI),一日平均増体量(DG)および飼料要求率(FCR)におけるRMSEを算出(ぞれぞれRMSEFI,RMSEDGおよびRMSEFCR)し,遺伝率を推定した.次に,それらと飼料利用性および枝肉形質との遺伝相関を推定した.【結果】RMSEFI,RMSEDGおよびRMSEFCRの遺伝率は,それぞれ0.11,0.06および0.00と低い値が推定された.RMSEFIと飼料利用性形質との推定遺伝相関は,-0.45から0.47であった.RMSEFIは皮下脂肪厚とBMSとの間に,それぞれ0.25および0.38の遺伝相関が推定された.【結論】黒毛和種肥育牛におけるレジリエンス形質の遺伝率は低かった.濃厚飼料摂取量のRMSEを小さくする改良により,飼料利用性が高く,皮下脂肪厚が薄く,かつBMSが低くなる可能性が示唆された.