日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[VI-29-32_34] 遺伝・育種(VI-午後)

2019年3月29日(金) 15:50 〜 16:20 第VI会場 (8号館8402講義室)

座長:山崎 武志(農研機構北農研)

15:50 〜 16:00

[VI29-32] ホルスタイン種のゲノミック評価における雌牛リファレンスの影響

佐分 淳一, 大澤 剛史 (家畜改良セ)

【目的】現行のホルスタイン種のゲノミック評価では,雄牛のみのリファレンスを使用している.近年,雌牛のSNP検査頭数が増え,雌牛のリファレンスとしての利用による精度の向上が期待されている.そこで,雌牛リファレンスの影響を調査した.【方法】乳期モデルで扱った泌乳形質を調査の対象とした.分析は4年前のデータを使用したため,雄牛は約9,400頭,雌牛では約2,600頭をリファレンスとして利用した.DYDからBayesAによって事前に推定したSNP効果の分散比と,スケール補正した海外種雄牛の国際評価値を取り込み,雄牛リファレンスを使用したマルチステップSNP-BLUP,雄雌リファレンスを使用したマルチステップSNP-BLUP,および雄雌リファレンスを使用したシングルステップSNP-BLUPとで,実現信頼度の推定と回帰分析を行い比較した.【結果】BayesAによって推定したSNP効果の分散比を使用することで線形モデルよりも実現信頼度は増加したが,雄雌リファレンスを使用することでその増加量は低減した.雄雌リファレンスを使用した場合の実現信頼度は,雄牛リファレンスと比べ乳タンパク質率で最大4%増加したが,その他の形質では同程度か1%の増加にとどまった.回帰分析の結果,雌牛リファレンスを追加することで過大推定の傾向が高くなったが,その程度はマルチステップよりもシングルステップにおいて大きくなった.