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[VI29-34] 黒毛和種における分娩難易と分娩牛の体尺測定値との遺伝的関係
【目的】子牛の損耗を伴うような重度の難産は,繁殖農家に経済的損失を生じさせる.このため,分娩難易は重要な改良形質と考えられるが,その遺伝率は低いことが知られている.このような形質の改良は,遺伝的に関係のある他の形質の改良によって間接的に選抜できる可能性もある.外国品種では,分娩牛の体尺測定値が分娩難易と遺伝的に関連があると報告されている.そこで本研究では,黒毛和種における分娩難易と登録審査時の体尺測定値(体高,尻長,胸囲,胸深およびかん幅)との遺伝的関係を検討した.【方法】供試データには,家畜改良センター繋養黒毛和種雌牛における,初産時の分娩記録2,155件を用いた.なお,これらの記録における繁殖方法は全て人工授精である.分析では,分娩難易は2値の閾値形質として,体尺測定値は連続形質として扱った.分散・共分散成分は2形質アニマルモデルを用いたGibbs sampling法で推定した.【結果】分娩難易の遺伝率は平均0.24,体尺測定値は0.30~0.60と推定された.分娩難易と体尺測定値の間の遺伝相関では,有意(P<0.05)ではないものの体高との間に弱い負の関係(-0.22)が,胸囲および尻長との間に弱い正の関係(0.22~0.31)がみられた.分娩難易と体尺測定値との間の表型相関は全て非常に弱い値であった(-0.07~0.10).