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[VIII29-04] 筋原線維内のミオシン分子置換様相は筋線維型によって異なる
【目的】これまでに我々は培養骨格筋細胞を用いて,筋原線維内のミオシン分子は常に置換していること,置換には新規合成ミオシン分子だけでなく細胞質に存在するミオシン分子も利用されること,熱ショックタンパク質90(Hsp90)過剰発現によりミオシン分子の置換が促進することを明らかにした.しかし,異なる筋線維型でのミオシン分子置換の様相は不明である.そこで,本研究では遅筋型と速筋型の筋線維における筋原線維内のミオシン分子置換様相を比較検討した.【方法】野生型Myh7(遅筋型ミオシン重鎖)の代わりにGFP融合Myh7を発現するマウス及び野生型Myh1(速筋型ミオシン重鎖)の代わりにKusabiraOrange融合Myh1を発現するマウスから単一筋線維を調製し,光退色後蛍光回復法でミオシン分子の置換様相を調べた.また,タンパク質翻訳阻害剤(シクロヘキシミド; CX)あるいはHsp90阻害剤(ゲルダナマイシン; GM)存在下における置換様相も検討した.【結果】遅筋型筋線維では速筋型筋線維に比べて蛍光回復の程度が大きく,蛍光回復速度が遅い傾向にあった.CXあるいはGM処理により両筋線維型ともに対照区と比べて蛍光回復の程度が小さくなったが,その抑制効果は遅筋型の方が速筋型に比べて大きかった.筋線維型によるミオシン分子置換様相の違いにはミオシン生合成及びHsp90活性が関与すると考えられた.