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[VIII29-17] 放牧飼養する日本短角種の大腿二頭筋近位部における脂肪滴含有筋線維とCD36陽性筋線維の発現
【目的】我々は前回の大会において放牧飼養する日本短角種の大腿二頭筋(中および遠位部)ではCD36を介して筋線維内に脂肪滴が蓄積することを報告した.大腿二頭筋は大型で,その機能から近位部(姿勢保持),中および遠位部(後肢の動き)に大別される.姿勢保持に働く筋は疲労耐性が強い筋線維型構成を有するが,放牧による変動,脂肪滴含有筋線維の構成は不明である.そこで,本研究では大腿二頭筋近位部における脂肪滴含有およびCD36発現筋線維の筋線維型構成を明らかにすることを目的とした.【方法】日本短角種去勢雄(約17ヶ月齢)を用いて,放牧区および舎飼区を設置した(各4頭).放牧区は放牧草を自由採食,舎飼区は直刈り青草を飽食給与した.放牧開始前(5月)と中期(8月)に大腿二頭筋近位部,中遠位部をバイオプシー法で採取し,組織化学的手法により脂肪滴含有およびCD36陽性筋線維の筋線維型の同定を行った.【結果】大腿二頭筋近位部における脂肪滴含有およびCD36陽性筋線維の発現割合は,それぞれ約25および40%であった.両者の発現割合は中遠位部より高く,8月の放牧区で顕著に増加した.さらに増加した両者の筋線維の多くは疲労耐性の強いⅠD型に分類された.したがって,大腿二頭筋近位部では横臥など基本行動と姿勢保持,放牧による運動行動によって,疲労耐性が強くCD36と脂肪滴を有する筋線維型に移行する可能性が示唆された.