日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[VIII-29-26_28] 形態・生理(VIII-午後)

2019年3月29日(金) 14:40 〜 15:10 第VIII会場 (8号館8501講義室)

座長:相澤 修(日大生資科)

14:50 〜 15:00

[VIII29-27] マウス乳腺上皮細胞における温度受容体TRPV4とβ-casein発現との関連性

水澤 萌子1, Sharmin Mamuna2, 米倉 真一1,2,3 (1.信州大院総合理工, 2.信州大院総合医理工, 3.信州大バイオメディカル研)

【目的】暑熱ストレスは乳牛の体温維持機構を破綻させ,体温上昇や代謝異常を引き起こし,結果として乳量を低下させる.しかし,乳汁を合成・分泌する乳腺組織,特に乳腺上皮細胞に暑熱ストレスがどのような影響を及ぼし,最終的に乳量低下を引き起こすのか,その詳細な機構は解明されていない.本研究では,熱ストレスによる温度受容体TRPV4の活性化がミルクタンパク質β-caseinおよびストレス応答機構UPR因子の発現に影響を及ぼすかを検討した.【方法】暑熱環境下(39℃)で培養したマウス乳腺上皮細胞株HC11を用いて,β-casein,TRPチャネルファミリー遺伝子,およびUPR関連遺伝子の発現量をqPCR法によって検討した.また,TRPV4アゴニストを添加し37℃で培養したHC11において,39℃と同様の変化が生じるかをqPCR法によって確認した.【結果】37℃で培養したコントロールに比べ39℃ではβ-casein,TRPV4,およびUPR因子ATF6,XBP1,GRP78の遺伝子発現が有意に増加した.また,TRPV4アゴニストの添加によって37℃で培養したHC11においてもβ-casein,ATF6,XBP1の遺伝子発現が有意に増加することが明らかとなった.以上の結果より,39℃の熱ストレスがTRPV4およびUPR因子を介してHC11のβ-casein遺伝子の転写能を増加させることが示唆された.