日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[VIII-29-34_36] 形態・生理(VIII-午後)

2019年3月29日(金) 16:00 〜 16:30 第VIII会場 (8号館8501講義室)

座長:野地 智法(東北大院農)

16:10 〜 16:20

[VIII29-35] ラット小腸上皮細胞株IEC-6における密着結合構成タンパク質遺伝子発現に及ぼすウシ乳汁由来エクソソームの影響

安藤 真由美, 相澤 修, 山室 裕 (日大院生資科)

【目的】エクソソームは,様々な細胞から分泌される脂質二重層に包まれた膜小胞であり,標的細胞へと取り込まれることによりその機能を修飾することが報告されている.我々は,ウシ乳汁に由来するエクソソームがラット小腸上皮細胞株IEC-6に取り込まれることを見出し,第124回大会において報告した.このことは,乳汁由来エクソソームが腸管上皮細胞機能を調節することを示唆するものであるが,その詳細は不明である.本研究では,腸管上皮細胞間で形成される密着結合を構成するタンパク質の遺伝子発現に及ぼす乳汁由来エクソソームの影響について調べた.【方法】ホルスタイン種雌牛より搾乳された生乳から乳清を調整し,超遠心分離法によりエクソソーム分画を単離した.単離されたエクソソームをラット小腸上皮細胞株IEC-6に添加し,24または72時間培養した.培養終了後,Cldn1OclnJam-aならびにZo-1遺伝子の発現をRT-qPCR法により測定した.【結果】培養24時間後におけるJam-aならびにZo-1遺伝子の発現は,エクソソーム処理により対照群と比較して有意に減少した.また,培養72時間後では,Cldn1を除く全ての遺伝子発現が有意に減少した.【結論】ウシ乳汁由来エクソソームは,腸管上皮細胞へと取り込まれることにより特定の密着結合構成タンパク質遺伝子の発現調節に関与することが確認された.