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[XIV29-30] 黒毛和種牛肉の食味特性におけるオレイン酸の影響
【目的】黒毛和種牛肉のもつ特有の香りとうま味は食味特性に強く寄与し,筋肉内脂肪量によっても左右される.一方近年では,脂肪の質の違いがテクスチャーだけでなく,そのフレーバーにも影響を与えている可能性が示されている.そこで, 本研究は高オレイン酸含量のブランド牛を含めた同一銘柄牛を対象とし,オレイン酸割合が黒毛和種の食味特性に与える影響を検討することを目的とした.【方法】試料は月齢,性,BMSNo, C18:1割合が既知の鳥取県産黒毛和種59頭の胸最長筋を用いた.試料肉は1cm厚さにスライスし,200℃に熱したホットプレートで中心温度60℃になるまで加熱,3×4cmに成形した.分析型官能評価は13名の訓練パネルにより,8段階尺度で行った.また, 同試料で破断測定も行い,加えHPLCによるイノシン酸測定,クッキングロス測定を行った.【結果】「総合評価」に最も強い正の相関を示す項目は「総合的な香り」,次いで「悪い牛くささ」「風味の強さ」であった(r > 0.6).しかし,C18:1割合との間には相関はみられなかった.また,性については,雌が去勢より「多汁性」「甘い牛の香り」, うま味の強さの項目において有意に高値であり,逆にクッキングロスにおいて雌が去勢より有意に低値であった(p <0.05).しかし,C18:1割合では性の違いによる有意な差はみられなかった.