日本畜産学会第129回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞演題

優秀発表1

2021年9月14日(火) 09:30 〜 11:00 優秀発表応募演題1 (オンライン)

座長:櫛引 史郎(農研機構畜産研究部門)、熊谷 元(京大院農)、上野 豊(信州大農)、塚原 隆充(栄養・病理研)

[IYS-01] 炎症性サイトカインIL-1βはウシヘプシジン発現を促進しない

*松村 愛実1、村上 賢2、糸山 恵理奈3、下河 史枝2、吉岡 秀貢3、松井 徹1、舟場 正幸1 (1. 京大院農、2. 麻布大獣、3. 京大院農附属牧場)

【目的】鉄過剰防御機能を担うヘプシジン(Hepc)は、炎症時に発現亢進することがヒトやマウスで知られている。本研究では代表的な炎症性サイトカインであるIL-1βがウシHepc発現制御に及ぼす影響を調べた。
【方法】黒毛和種肥育牛肝臓より初代細胞を調製し、mRNA量はRT-qPCR法により検討した。肝臓由来HepG2細胞を用い、マウス(m)またはウシ(b)Hepc遺伝子転写をレポーターアッセイにより比較した:各動物のHepcプロモーター、これらに変異を加えたプロモーターをルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込んだレポーターを構築した。
【結果および考察】1)ウシ初代細胞においてIL-1β添加時にIL-1β応答遺伝子のmRNA量は増加したが、Hepc mRNA量は変化しなかった。2)mHepc転写はIL-1βによって促進されたが、bHepc転写は変化しなかった。3) mHepcプロモーター上のIL-1β応答領域を相当するウシ配列に置き換えてもIL-1β応答性を示した。4) ウシとマウスのHepcプロモーターを部分的に組み合わせたキメラレポーターを用いた解析から、bHepc遺伝子のIL-1β不応答に関する責任領域は、翻訳開始点から上流~600 bpであると考えられた。以上より、IL-1βに対するHepc転写には動物種差があり、bHepcプロモーターにはIL-1β応答性を妨げる領域がある。