日本畜産学会第129回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞演題

優秀発表1

2021年9月14日(火) 09:30 〜 11:00 優秀発表応募演題1 (オンライン)

座長:櫛引 史郎(農研機構畜産研究部門)、熊谷 元(京大院農)、上野 豊(信州大農)、塚原 隆充(栄養・病理研)

[IYS-03] 放牧飼養下の乳牛における乳中奇数鎖脂肪酸および側鎖脂肪酸を用いたルーメン内微生物態タンパク質合成量の推定

*下田 桂1、呉 成真2、三谷 朋弘3、河合 正人3、上田 宏一郎2 (1. 北大院農、2. 北大院農研、3. 北大FSC)

【目的】乳中の奇数鎖脂肪酸(OCFA)および側鎖脂肪酸(BCFA)(総称してOBCFA)はルーメン内微生物由来の物質であり、微生物態タンパク質(MCP)合成量推定の指標となる可能性がある。放牧飼養下の乳牛において、乳中OBCFAからのMCP合成量推定の可能性について時期の影響を含めて検討した。【方法】ホルスタイン種泌乳牛18頭を昼夜放牧した。2020年の5~6月に、6日間を1期とするサンプリング期間を3期設け、放牧草、生乳、糞、尿を採取した。放牧草の化学成分、食草量、体重、12種の乳中OBCFA量、MCP合成量の指標として尿中プリン誘導体濃度を測定した。【結果】放牧草の乾物および化学成分摂取量は期によって異なった。供試牛の体重は放牧開始後大きく減少し、その後大きくは変動しなかった。乳中総OBCFA量は2期および3期で有意に多く(P<0.05)、MCP合成量にも同様の期間差が生じた。乳中総OBCFA量とMCP合成量との間には、有意な正の相関が認められた(1,2,3期でそれぞれ0.67,0.67,0.54;P<0.05)。重回帰分析における決定係数は全期で0.53、期ごとでは1,2,3期でそれぞれ0.77,0.52,0.40であり、いずれも有意な回帰式が導かれた(P<0.05)。放牧時期は、乳中OBCFAからのMCP合成量の推定精度に影響を及ぼす可能性がある。