日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 12:00 Zoom会場1 (オンライン)

座長:梶川 博(日本大生物資源科学)、三森 眞琴(農研機構畜産研究部門)、神谷 充(農研機構中央農研)、福間 直希(帯広畜産大学)、杉野 利久(広大院生物圏)

10:20 〜 10:30

[I-16-09] フィトールの給与がヒツジの血漿メチオニン代謝速度に及ぼす影響

*福田 大和1、小櫃 剛人1、杉野 利久1 (1. 広島大院統合生命)

【目的】メチオニンは,メチオニン回路での代謝を介して,メチル基の転移に重要な役割を担っている.このメチオニン回路に関与するアミノ酸の血漿濃度が,フィトールの給与によって高まることを演者らは見出した.本研究では,フィトールの給与がヒツジのメチオニン代謝速度に及ぼす影響を低CP飼料給与下で検討した.【方法】サフォーク種去勢成ヒツジ8頭を供試した.オーツ乾草主体の飼料(乾物中CP含量8.5%)を,維持エネルギー要求量の1.3倍量給与した.乾物給与量の1.2%相当のフィトールを給与するフィトール区と無添加の対照区を設定し,1期14日間の2期反転法で試験を行った.各期末に,[1-13C]Met,[Methyl-2H3]Met,および[1-13C]Pheの頚静脈内注入によるトレーサー試験を行い,血漿メチオニンおよびフェニルアラニンの代謝回転速度(フラックス)を測定した.【結果】フィトール区では対照区に比べ,血漿セリン,グリシン,メチオニン,システイン濃度が高値を示し,グルタミン酸濃度が低値を示したが,ホモシステイン濃度には差は見られなかった.血漿フェニルアラニンのフラックスは試験区間に違いはなかった。血漿中[Methyl-2H3]Metにより推定される再メチル化を含むメチオニンフラックスが,フィトール区において高値を示し,メチオニンのメチル基転移と再メチル化速度が高まることが示唆された.