日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

6. 管理・環境

管理・環境

2022年9月16日(金) 13:00 〜 17:00 Zoom会場6 (オンライン)

座長:杉野 利久(広大院生物圏)、矢用 健一(農研機構 畜産研究部門)、石川 志保(酪農学園大学)、森田 茂(酪農学園大農食環境)、阪谷 美樹(農研機構畜草研)、竹田 謙一(信州大学)、黒川 勇三(広島大学)、檜垣 彰吾(農研機構)

16:10 〜 16:20

[VI-16-21] 階層型休息舎の設置が夏期放牧ヤギ群の空間分布とセシウムの分布に及ぼす影響

*安江 健1、長埜 裕太1、立石 咲貴1 (1. 茨城大農)

【目的】簡便なセシウム(Cs)除染を目指し、放牧地にヤギが好んで利用する階層型休息舎を設置した場合のヤギの空間分布とCsの分布を、設置前の前報(日畜第124回大会)と比較した。【方法】前報と同じ1haの野草放牧地にそれぞれ地上60,220cmの2階建て休息舎を追加設置し、2016年6~11月にかけて9頭のザーネンヤギを放牧して試験を実施した。センサーカメラにより毎月10日分の群による休息舎の利用を把握し、1頭の観察個体に装着したGPS首輪による位置データを1分間隔で毎月8日分収集した。加えて肉眼による24時間の観察を毎月1回実施し、1頭の観察個体の糞尿分布を記録した。放牧地を30m圏内の小屋周辺と90m圏外の小屋遠方に区分し、各場所での植生と土壌を前報同様に収集してGe半導体検出器でCs濃度を分析し、各場所での総Cs沈着量の変化を比較した。【結果と考察】新設した階層型休息舎はいずれの階も避難小屋より有意に多く利用され、ほぼ毎日群により利用された。しかし7~8月には休息舎の夜間利用がなくなった結果、休息舎周辺でのヤギの滞在時間割合や排泄頻度を増加させることはできなかった。その結果、Cs沈着量の変化は前報と同様、小屋周辺部では半減期を考慮した期待値より20kBq/m2早く減少し、逆に小屋遠方では期待値よりも4kBq/m2減少が遅かった。階層型休息舎の夜間利用を高める工夫が必要である。