日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養Ⅰ

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第II会場 (大講義室)

座長:大坂 郁夫(明治飼糧株式会社)、谷川 珠子(道総研酪農試)、杉野 利久(広島大院統合生命)、野中 最子、近藤 誠(三重大学)

10:10 〜 10:20

[II-20-08] 乳牛の排泄糞形状・性状の変動と各種要因の影響

*吉野 雄大1、上野 梓1、長野 志歩1、飯野 一輝2、近藤 美優2、青木 康浩1 (1. 農工大院農、2. 農工大農)

【目的】従来、排泄糞形状・性状は乳牛の健康状態の重要な情報源とされている.しかし,形状・性状を特定の時点で調べた事例はあるが,比較的長期にわたる変動の状況は検討されていない.本研究では,春季から秋季にわたる排泄糞形状・性状の変動の様相と,その変動に対する各種要因(微気象,飼料,乳生産)の影響について検討した.【方法】泌乳牛9頭を供試し,2022年5月下旬から11月まで2週間隔で排泄糞の含水比や厚さなどの形状・性状値を測定した.得られた形状・性状値について個体と時期による差の有意性を繰り返しのない二元配置分散分析で解析した.また、変動要因として牛舎内の温湿度指数(THI),乳量,併給飼料の有無,産次数を取り上げ,THIと形状・性状値との関係に各種回帰式を当てはめた.次いで,各変動要因を説明変数とした一般化線型混合モデル(GLMM)によって形状・性状値の変動を解析した.【結果】含水比と厚さは個体および時期により有意に異なった.厚さはTHIが71.5を超えると二次曲線状に増加した.GLMMから,含水比はTHIが1増加すると0.067%減少,乳量が1kg増加すると0.089 %増加,産次数が1増加すると0.37%増加することがわかった.以上より、排泄糞の含水比および厚さは春季から秋季にかけて変動し、その変動にはTHIなどの要因が関与することが示唆された.