日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養Ⅱ

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:20 第III会場 (1・2番講義室)

座長:林 義明(名城大農)、小池 聡(北大院農)、塚原 隆充(栄養・病理研)、福山 朋季(麻布大学)

09:30 〜 09:40

[III-20-04] アシタバポリフェノールがルーメン発酵特性及び消化率に及ぼす影響

*荒川 七海1、福間 直希1、花田 正明1、西田 武弘1 (1. 帯畜大)

[目的]アシタバ(明日葉, Angelica keiskei)は様々な生理活性物質が豊富に含まれており, この一部の植物性化学物質にはルーメン内のメタン生成を抑制する効果が認められている。そのため, 本研究ではアシタバポリフェノール(AKP)のルーメン内発酵特性に対する効果を検討した。
[方法]粗飼料と濃厚飼料を1:1の割合で混合した基質を, ホルスタイン雌牛から採取したルーメン液と人工唾液を用いてin vitro培養試験(39℃,24時間)を行った。基質のみで培養した区を対照区とし, 基質および基質の10%, 15%, 20%量のAKPを添加して培養した区を設け, それぞれ10%区, 15%区, 20%区とした。培養後, 総ガス生成量, ガス組成, 短鎖脂肪酸濃度, 乾物消化率(IVDMD)を測定した。
[結果]AKPを添加した区では, いずれも対照区に比べIVDMDは減少したが, 総ガス生成量は増加した。ガスの組成は, AKPを添加によりメタン生成割合が減少し, 20%添加区において対照区に比べメタンの生成量を16.0%減少し, 最小値となった。また, AKP添加により培養液中の総揮発性脂肪酸濃度は増加し, 特にプロピオン酸濃度の増加が大きく, 酢酸/プロピオン酸比は減少した。以上のことから, アシタバはルーメン内のメタン生成を減少させる可能性があることが考えられた。