日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養Ⅱ

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:20 第III会場 (1・2番講義室)

座長:林 義明(名城大農)、小池 聡(北大院農)、塚原 隆充(栄養・病理研)、福山 朋季(麻布大学)

11:00 〜 11:10

[III-20-13] マウスモデルを用いた,母への抽出核酸含有トルラ酵母給与による産仔免疫活性化

*塚原 隆充1、増田 慎也1、川瀬 貴博1、橋本 唯史2、把田 雅彦2、佐々木 次郎2 (1. 栄養・病理学研究所、2. 日本製紙)

繁殖母豚へ抽出核酸含有トルラ酵母(RNA-TY)を給与したところ,ほ乳期産仔の早発性大腸菌症を予防できた。本研究では,その予防メカニズムを解明するため,マウスモデルを用いて母へのRNA-TY給与による仔の免疫活性化について検討した。BALB/c系6週齢メスマウスを10匹導入し,1週間馴化後,5匹ずつ無添加飼料給与(C)群,RNA-TY(トルラプラス,日本製紙製)0.5%添加飼料給与(T)群に割り付けた。8週齢から妊娠させた。通常分娩させ,分娩後16日で離乳させた。母は離乳時に全頭剖検し,血液検査及び脾細胞培養試験を行った。仔マウスは平均体重に最も近い4匹/母マウスを3母マウスから選抜し,うち2匹は離乳時に,残2匹は21日齢で剖検した。脾細胞培養試験を行った。離乳時の産仔数及び産仔腹重量は両群間で差はなかったが,離乳後の産仔増体はT群で高値化した。血中ALT濃度がT群で有意に低下した。母脾細胞に抗原添加をして培養したところ,T群はTNF産生が低下傾向にあった。一方,仔脾細胞では,抗原添加時のTNF産生が離乳直後のT群で増加傾向にあるのに対し,離乳後5日では逆に低下した。母へのRNA-TY給与によるほ乳期産仔の早発性大腸菌症予防は,ほ乳期の炎症性免疫の活性化が要因であると考えられる。現在,他の項目についても追試を行っている。