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[III-20-14] 心理社会的ストレスモデルマウスにおける肝臓代謝物の網羅解析
【目的】動物のストレス感受性は遺伝要因と環境要因に影響されるが、ストレス感受性と栄養代謝の関係性についてはほとんど明らかになっていない。本研究では、マウスの心理社会的ストレスモデルのストレス感受性と肝臓の代謝に着目し、その関係性をメタボロミクスにより明らかにすることを目的とした。 【方法】雄性C57BL/6Jに10日間の心理社会的ストレスを暴露し、社会行動を評価することにより、ストレス脆弱性個体(n=6)およびストレス耐性個体(n=7)を得た。マウスの肝臓を採取し、前処理後、GC-MS/MSにより代謝物の一斉分析を行った。 【結果・考察】肝臓内代謝物測定値について主成分分析を実施した結果、脆弱性群および耐性群のスコアプロットの全体的な傾向は類似していた。一方で、リジンやオルニチンを含むアミノ酸の半定量値はストレス暴露により変動した。そのため、これらの代謝物を含む代謝経路は心理社会的ストレスの影響を受けることが示唆された。さらに、ストレス感受性と関係する代謝経路を推定するためにパスウェイ解析を実施したところ、βアラニン代謝、グルタチオン代謝、アルギニン・プロリン代謝がストレス感受性と関係する可能性が示された。以上より、肝臓における特定の代謝経路がストレス感受性と関連することが示唆された。今後はこれらの代謝経路をターゲットにした機能性飼料の開発などに取り組む予定である。