日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:10 第IV会場 (3番講義室)

座長:高木 優二(信州大学)、難波 陽介(家畜改良事業団)、渡部 浩之(帯広畜産大学)、澤井 健(岩手大学)

09:30 〜 09:40

[IV-20-04] ウシ凍結-融解精子の運動性と受胎性との関連の探索:精子個別運動計測データの主成分分析の活用

*緒方 和子1、小林 栄治1、大江 美香1、佐藤 伸哉2、日高 健雅2、山本 理恵3、野儀 卓哉3、木村 和輝4、横川 広明4、石川 恭子4、渡部 晃弘5、長谷川 清寿5、金田 正弘6、武田 久美子1 (1. 農研機構畜産部門、2. 広島総技研畜技セ、3. 鳥取畜試、4. 茨城畜セ肉研、5. 島根畜技セ、6. 農工大院農)

【目的】運動精子率が同等の精液でも、含まれる精子の動き方は異なる。一方で、それら運動精子の特徴が精液の評価指標となるかは不明であった。我々は、精液の運動性の特徴を数値化する新たな手法の開発を目指し、精子運動解析装置(CASA)で得られた個々の精子の運動計測値の活用を検討してきた。本検討では、精子のクラスター分析(CA)による分類及び主成分分析(PCA)から決定した運動性評価値と受胎性との関連を検討した。【方法】人工授精による受胎率の明らかな雄牛27頭の凍結-融解精液各1ロットの運動計測値を解析に用いた。精液の運動性はCASAにより計測し、直線速度、曲線速度、平均速度、頭部振幅、頭部振動数の値を得た。CAにより全運動精子を運動の特徴で分類した。また、各精液のPCAの結果から、受胎率の高低に差のある主成分値の基準を検討した。【結果】PCAの結果、第1主成分(PC1)の寄与率は0.76、PC2は0.18であり、PC1とPC2の主成分得点のプロットでCAによるクラスターが分離した。プロット上でクラスター4及び5に対応する領域に含まれる精子の割合について、受胎率の高低グループ間で有意な差が見られた。CAの結果より、対象領域には曲線速度及び頭部振幅が高い精子が多く含まれていた。以上、対象領域に含まれる精子の割合が受胎性に関与する可能性が示され、今後、受胎性予測への利用性を検討する。