日本畜産学会第131回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表Ⅰ

2023年9月19日(火) 09:00 〜 10:30 第II会場 (大講義室)

座長:青木 康浩(東京農工大学)、上田 宏一郎(北海道大学大学院農学研究院)、塚原 隆充(栄養・病理研)、舟場 正幸(京都大学)

09:00 〜 09:15

[IYS-19-01] 夜間光照射が黒毛和種繁殖牛の朝給餌後における血中グルコースおよび遊離脂肪酸濃度に及ぼす影響

*山田 桃佳1、山口 徹2、工藤 雅之2、鈴木 茉央1、清水 凪1、飯塚 康介2、大塚 剛司2 (1. 岐阜大院自然科学、2. 岐阜大応用生物)

夜間の明るい牛舎環境は牛の体内時計を変化させる。体内時計は朝給餌後の栄養代謝機能と深く関わるが、夜間人工光による体内時計撹乱が、朝給餌後の牛の栄養代謝機能に与える影響は知られていない。そこで本研究では、黒毛和種繁殖牛を用いて、夜間の光照射が朝給餌後における血中グルコース(GLU)および遊離脂肪酸(NEFA)濃度に及ぼす影響を解析した。黒毛和種の光反応性を確認するため、毛包細胞の時計遺伝子発現リズムを確認したところ、時計遺伝子は日長に反応することがわかった。しかしながら行動リズムは日長よりも給餌時間に強く誘引された。次に夜間光照射後の血中GLUおよびNEFA濃度を確認したところ、夏の高温下では、朝給餌前に高血糖、朝給餌後の血中GLU濃度ピークの遅延および血中NEFA濃度上昇リズムの変化が確認された。冬の低温下においては、夕絶食後の夜間に高血糖、血中NEFA濃度は低値を示すことがわかった。以上の結果から、黒毛和種繁殖牛の時計遺伝子は日長に反応して発現リズム変動を示す一方で、行動リズムに関しては給餌時間に誘引されることから、黒毛和種繁殖牛の末梢体内時計は、日長よりも給餌時間に強く支配される可能性がある。また、黒毛和種繁殖牛は光照射群において、ヒトの2型糖尿病および肥満と類似した変動を示したことから、夜間光照射は、黒毛和種の朝給餌後の栄養代謝機能に負の影響を与えることがわかった。