日本畜産学会第131回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表Ⅰ

2023年9月19日(火) 09:00 〜 10:30 第II会場 (大講義室)

座長:青木 康浩(東京農工大学)、上田 宏一郎(北海道大学大学院農学研究院)、塚原 隆充(栄養・病理研)、舟場 正幸(京都大学)

09:30 〜 09:45

[IYS-19-03] 黒毛和種牛の肥育期における血中タウリン濃度の動態とその栄養生理的な特徴

*髙井 俊太朗1、鋪田 莉佳1、正木 達規2、生田 健太郎2、岩本 英治2、Lee Honggu3、鳥居 伸一郎1、芦原 茜4、金 民知4、寺田 文典4、芳賀 聡1、盧 尚建1 (1. 東北大院農、2. 兵庫農技総セ、3. Konkuk Univ、4. 農研機構)

【目的】黒毛和種牛ではタウリンは肝臓での生合成によって維持されるが、その調節因子については不明である。したがって、本研究では黒毛和種牛の各肥育期の血中タウリン濃度の動態に関連する調節因子を解析し、その栄養生理的な特徴を調査した。 【方法】黒毛和種牛 21 頭(12ヵ月齢)を供試し、肥育前期(13ヵ月齢)、中期(20ヵ月齢)、後期(28ヵ月齢)に採血を行い、血中の代謝産物とホルモンの測定し、血中タウリンとの関連性を解析した。また、同じ月齢で肝臓バイオプシーを行い、肝組織のタウリン合成遺伝子の発現量を解析した。初代培養肝細胞を用いて脂肪酸刺激によるタウリン合成律速酵素 CDO1 の発現量を解析した。 【結果】血中タウリン濃度が肥育前期から中期にかけて2倍以上有意に増加し、後期で前期と同程度まで有意に低下した。血中タウリン濃度と肥育成績、メチオニンなどの代謝産物と正の相関がみられた。タウリン合成経路の下流酵素である CSAD の発現量は前期から中期にかけて有意に増加し、中期から後期にかけて有意に減少した。オレイン酸、プロピオン酸、BHBA の刺激によって CDO1 の発現量は有意に増加し、酢酸によって有意に減少した。以上の結果より、肥育期間中の黒毛和種牛では濃厚飼料や粗飼料の割合や飼料摂取量の変化に伴う肝機能の状態に応じて、肝臓でのタウリン生合成を調整することが示唆された。