日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

2. 育種・遺伝

育種・遺伝Ⅰ

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第V会場 (4番講義室)

座長:和田 健太(東京農業大学)、石原 慎矢(日本獣医生命科学大学)、石川 明(名大院生命農)、鈴木 恒平(家畜改良セ)、谷口 雅章(農研機構畜産研)、福田 智一(岩手大理工)

10:40 〜 10:50

[V-20-11] ヒツジ筋肉由来線維芽細胞の無限分裂および生物学的特徴の解明

*福田 智一1、菊地 乃愛1、松坂 ひまり1、白 蘭蘭1、佐野 宏明2、永塚 貴弘3、仲川 清隆3、菅野 江里子1、尾﨑 拓1、冨田 浩史1、清野 透4 (1. 岩手大学理工学研究科、2. 岩手大学農学部、3. 東北大学農学研究科、4. 国立がん研究センター)

【目的および研究背景】ヒツジは産業上重要な家畜であるが、ヒツジ由来の培養細胞の数は極めて限られている。我々は細胞の元の性質を可能な限り保持したまま、ヒツジ由来の無限分裂細胞の樹立を試みた。加えて生物学的特徴を解析するために、連続継代、PCR分析、ウェスタンブロット解析、RNA-Seq解析を実施した。【材料および方法】雄ヒツジ由来の筋肉組織より10%ウシ胎児血清を含むDMEM培地によって初代培養を行なった。初代培養の細胞へレンチウィルス を用いて変異型サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、サイクリンD1、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)遺伝子を導入した。同時にウィルス由来のがん遺伝子であるSV40遺伝子を導入し、無限分裂を試みた。また、初代培養細胞を含めてtotal RNAを回収しRNA-Seqを実施した。【結果および考察】初代培養細胞へレンチウィルス によって効率よく導入が可能であることを検出した。初代培養細胞はおおよそ40回ほど細胞分裂した後に増殖を停止するが、遺伝子導入された細胞群は100回以上の細胞分裂能力を示した。また、細胞老化のマーカーであるSA-beta-gal染色に陰性であった。本発表では起源となる細胞種類の同定のため、各種臓器由来のRNAと全遺伝子レベルでの発現比較を行い、同定した結果、特に主成分解析の結果を紹介する。