日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

2. 育種・遺伝

育種・遺伝Ⅱ

2023年9月20日(水) 13:00 〜 15:30 第VI会場 (5番講義室)

座長:齋藤 ゆり子(農研機構畜産部門)、馬場 俊見(日ホ北支局)、小川 伸一郎(農研機構畜産部門)、竹田 将悠規(家畜改良セ)、造田 篤(全農ET研)、井上 慶一(宮大農)

13:30 〜 13:40

[VI-20-20] 大規模な遺伝子型データに対応したSingle-Step SNP BLUP法のプログラム開発

*大澤 剛史1、増田 豊2 (1. 家改良セ、2. 酪農大農食環境)

【目的】Single-Step SNP BLUP法は,遺伝子型個体数×SNPマーカー数のZ行列が必要になる.Z行列はSNPマーカーにおける遺伝子型個体に対する回帰係数の計画行列で,倍精度実数でメモリーに保存するとSNPマーカー数が5万個で遺伝子型個体数が10万個の場合,メモリー要求量は37GBになる.現在,日本のホルスタイン種の遺伝子型個体数は約17万個体であり,大規模な遺伝子型データに対応したSingle-Step法のプログラムが必要である.そこで,本研究では大規模な遺伝子型データに対応したSingle-Step SNP BLUP法のプログラムを開発した.【方法】反復解法は,iteration on dataによるPCG法を採用した.Z行列は,遺伝子型AA,ABまたはBBに対応した0,1または2の整数についてPlinkのBED形式で保存し,反復毎にSNPマーカーにおける回帰係数を計算するon-the-fly方式を用いた.【結果】BED形式のZ行列のメモリー要求量は,倍精度実数の32分の1となった.したがって,SNPマーカー数を5万個とした場合,遺伝子型個体数が10万個体の場合37GBから1.1GBに削減され, 50万個体では186GBから5.8GBに削減される.本方式では反復内の計算コストが増加するが,17万の遺伝子型個体を用いた体型形質における総計算時間は実用的な範囲であった.