日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

2. 育種・遺伝

育種・遺伝Ⅱ

2023年9月20日(水) 13:00 〜 15:30 第VI会場 (5番講義室)

座長:齋藤 ゆり子(農研機構畜産部門)、馬場 俊見(日ホ北支局)、小川 伸一郎(農研機構畜産部門)、竹田 将悠規(家畜改良セ)、造田 篤(全農ET研)、井上 慶一(宮大農)

14:30 〜 14:40

[VI-20-26] 鳥取県黒毛和種集団の発育に関する遺伝的パラメータ推定

*井上 喜信1、野儀 卓哉1、和牛 ゲノミック評価2 (1. 鳥取畜試、2. コンソーシアム)

【目的】近年、黒毛和種における枝肉形質ゲノミック選抜が進んでいる。一方で、発育等他形質の評価を望む声もある。そこで本研究では、血統情報および一塩基多型(SNP)情報を利用し、鳥取県黒毛和種集団の発育関連形質の遺伝的パラメータ推定を行った。【方法】2001年から2022年の間に収集された、鳥取県内で飼養された黒毛和種子牛の発育形質(在胎期間、生時体重、365日補正体重、365日補正体高)を分析に用いた。収集した表型値サンプル数はそれぞれ、5,516、2,064、29,230、6,055件であった。分析は単形質アニマルモデルにより行い、分散成分推定は、相加的血縁行列(A行列)および一部をゲノム関係行列に置き換えたH行列を用いたAI-REML法により行った。【結果】在胎期間、生時体重、365日補正体重、365日補正体高のA行列を用いた場合、遺伝率はそれぞれ0.65、0.63、0.72、0.76であり、H行列を用いた場合0.50、0.62、0.67、0.70であった。形質間の遺伝相関の推定値は、SNP情報の有無に係わらず生時体重、365日補正体重、365日補正体高間の遺伝相関の推定値は高い正の値であったが、在胎期間と生時体重、365日補正体重、365日補正体高間では正もしくは負の低値であった。以上から、在胎期間の長さは生時体重およびその後の発育に影響を及ぼさないことが示唆された。