日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理

2023年9月20日(水) 13:00 〜 16:20 第VII会場 (21・22番講義室)

座長:辰巳 隆一(九大院農)、岩崎 智仁(酪農大食と健康)、佐藤 幹(東北大)、磯部 直樹(広大院生物圏)、室谷 進(農研機構畜産部門)

14:50 〜 15:00

[VII-20-28] 社会的敗北ストレスがマウス生殖細胞におけるDNAメチル化状態に及ぼす影響

*大野 ひかり1、相澤 修1、山室 裕1 (1. 日大院生資科)

【目的】ストレスにさらされた動物の生体内では様々な生理学的変化が引き起こされ、これらの影響は動物生産の場において深刻な問題となる。加えて、動物個体が受けたストレスの影響が生殖細胞のエピゲノム変化を介して次世代に伝達することが示唆されはじめている。しかしながら、多頭飼育により生じた社会的ストレスが生殖細胞エピゲノムに及ぼす影響は明らかとなっていない。本研究では、社会的敗北の経験がマウス生殖細胞のDNAメチル化状態に及ぼす影響を調べた。【方法】C57BL/6J(B6J)オスマウスをICRオスマウスと同居させ、5分間の身体的接触を与えることで敗北ストレスを負荷した。残りの24時間は同一ケージを仕切り両側に一頭ずつ飼育した。この操作を10日間連続で行い、社会的敗北ストレスモデルを作製した。社会的敗北を経験していないB6Jマウスを対照群とした。実験終了後、ICRマウスに対する忌避行動を評価した。その後、速やかに精巣を回収し、コラゲナーゼ処理により生殖細胞を単離した。生殖細胞からゲノムDNAを抽出し、5-メチルシトシン量をELISA法により解析した。【結果】社会的敗北ストレスを負荷したマウスの生殖細胞における5-メチルシトシン量は対照群と比較して有意に低かった。【結論】マウスに対する社会的敗北ストレスの負荷は精巣内における生殖細胞のエピゲノム修飾を変化させることが示唆された。