日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理

2023年9月20日(水) 13:00 〜 16:20 第VII会場 (21・22番講義室)

座長:辰巳 隆一(九大院農)、岩崎 智仁(酪農大食と健康)、佐藤 幹(東北大)、磯部 直樹(広大院生物圏)、室谷 進(農研機構畜産部門)

15:10 〜 15:20

[VII-20-30] 発酵粗飼料型スターター給与が強化哺乳下の子牛の採食特性、発育および栄養生理学的変化に及ぼす影響

*増田 航大1、中野 美和2、小林 寿美2、遠野 雅徳2、石崎 宏2、盧 尚建1、芳賀 聡1,2 (1. 東北大院農、2. 農研機構畜産部門)

【目的】近年、哺育飼養管理は多様化し、その1つとして発酵粗飼料のスターター利用が報告されているが知見は乏しい。そこで本研究では、発酵アルファルファ飼料をスターターとする飼養が、慣行の濃厚飼料スターター飼養と比較して、強化哺乳下の子牛の発育や栄養生理学的変化にどのような影響を与えるか調査した。【方法】ホルスタイン子牛を発酵粗飼料(FS区)および濃厚飼料(CS区)給与の2区(各n=10および9)に配置した。生後3~56日齢(離乳日)まで強化哺乳と併せて各スターターを段階増給して飼養した。定期的に採食量、発育度および血液代謝プロファイルを調査し、離乳時にルーメン液性状および屠畜後の臓器重量(各区5頭)を測定した。【結果】総飼料採食量はFS区においてCS区より有意に小さかったが、採食増加量は7~8週齢期でFS区においてCS区より有意に大きかった。増体はFS区においてCS区より小さかったが、体格に差は認められなかった。肝臓の重量はFS区がCS区に対して小さかったが、ルーメンの重量は同程度であった。ルーメン液中VFA組成はFS区で酢酸・酪酸の割合が大きく、プロピオン酸の割合が小さかった。離乳期の血中グルコース濃度はFS区においてCS区より低く、血中βヒドロキシ酪酸濃度は高かった。以上より、強化哺乳下におけるスターターの違いは、子牛の器官形成や栄養生理学的変化に影響することが示唆された。