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[X-20-03] サシバエ発生パターンの地域比較
【背景】害虫管理の持続性を高める重要なポイントは、いかに害虫の発生初期を捉え、適切な対策を実施できるかである。その初期発生を捉えるためには、年間を通した害虫のモニタリング調査が必須となる。吸血昆虫サシバエは世界的な畜産害虫として知られているにもかかわらず、国内におけるサシバエ成虫の密度推移の報告は散発的であり、比較可能、かつ、全国的な調査は実施されていない。【方法】本研究ではサシバエの発生予察法の構築を念頭に、国内7道県(北海道・栃木・岡山・福岡・大分・鹿児島・沖縄)において、サシバエの成虫と蛹を対象に、モニタリング調査を実施した。成虫は調査時点での、また、蛹は将来の発生密度を推定するものである。成虫密度のモニタリングには市販の粘着板を使用した。粘着板の設置期間は1週間で、1農場あたり20枚を目安に設置した。この調査は毎月2回行った。蛹密度は1農場あたり6反復をとり、堆肥1Lあたりの平均サシバエ蛹数を算出することでモニタリングを行った。【結果と考察】これまでの結果では、北海道・栃木・岡山では夏にピークがある一山型の発生傾向がみられた。一方で、福岡・鹿児島では、8月頃にサシバエ密度が低下し、春と秋に二つのピークがある二山型の発生傾向がみられた。本発表では、これら発生消長に関するデータをもとに、サシバエ防除基盤の整理を行う。