日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第XI会場 (35番講義室)

座長:佐々木 啓介(農研機構畜産研究部門)、若松 純一(北海道大学)、今成 麻衣(農研機構九州沖縄農業研究センター)、上田 修司(神戸大学大学院農学研究科)、前田 尚之(酪農学園大学)

09:40 〜 09:50

[XI-20-05] 静岡県内に生息するニホンジカ肉の食資源化 ー胃内容物とシカの食肉特性の関連についての検討ー

*石橋 弥生1、大橋 正孝2、八代田 千鶴3、小木 ひかる1、大槻 尚子1、市川 陽子1 (1. 静岡県大院、2. 静岡森林研セ、3. 森林総研関西)

【目的】近年、増えすぎたニホンジカが問題となっており個体数の管理捕獲と食肉利用が推進されている。我々は静岡県内のシカ肉について、捕獲方法、pHと食肉特性の関連などを検討してきたが、シカの栄養状態を左右する食餌内容が食肉特性に与える影響については不明である。本研究ではシカの胃内容物と食肉特性を分析し、関連の検討を行った。【方法】試料は、2022年11月~2023年1月に静岡市梅ヶ島、富士宮市根原、沼津市西浦、伊豆市達磨山でくくり罠捕獲されたのち、ジビエ加工処理施設で処理された体重35 kg以上、推定年齢2.5歳以上の個体(計12頭)の第一胃内容物と背最長筋を用いた。3日間冷蔵後、pHを測定し急速冷却した。解凍後、食品衛生法に基づき70℃の温水中で中心温度63℃、30分間の真空加熱調理を行い、ドリップロス(DL)、クッキングロス(CL)、剪断力価を測定した。胃内容物はポイントフレーム法により分析した。【結果】pHが6.5以上の高値を示した試料は、5.9以下の試料と比較し剪断力価、CLの値が有意に(p<0.05)少なかった。胃内容物分析では、各地域の個体で単子葉本葉や堅果類など同系統の物が観察されたが内容物の割合は個体ごと異なり、食肉特性との関連については確認できなかった。現在、個体数を増やすとともに肉の遊離アミノ酸分析、香り分析を行い、胃内容物と食肉特性の関係についてさらに検討中である。